2008年度 新聞広告クリエーティブコンテスト

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入賞作品 テーマ:「愛(LOVE)」

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[略号凡例]
CD:クリエーティブディレクション・AD:アートディレクション・C:コピー ・D:デザイン ・I :イラスト
最優秀賞

「次のページで、
人が殺されていませんように。」

代表・田中明尚さん
(たなか・あきひさ、ジェイアール西日本コミュニケーションズ)

C=田中明尚さん D=松本久義さん

優秀賞

「昔話」
今道栄一さん
(いまみち・えいいち、フリーランスコピーライター)

デザイン賞

「愛は大きすぎると、
ときどきわからない。」

代表・日高香織さん
(ひだか・かおり、MAQ inc. TOKYO)

C=日高香織さん
AD=瀬古晋也さん、前田朋子さん

 

 

コピー賞

「親不孝な息子」
代表・中岡香織さん
(なかおか・かおり、大阪芸術大学)

CD・AD・Ph=中岡香織さん
C=中岡香織さん、金大翼さん、一阪愛理さん、高橋茜さん
D=中岡香織さん、金大翼さん

学生賞

「だれかぼくのなまえを呼んで」
立川善哉さん
(たちかわ・よしや、金沢美術工芸大学)

審査講評 -クリエーター6氏と新聞協会広告委員会正副委員長による審査会-

審査委員長
眞木 準氏
「愛」をテーマに、自分なりに切り口をより深く考えた作品が選ばれた。「次のページで…」は新聞1ページでマルチ広告に転換させてしまうという、新聞の特性を生かした立体的な作品だ。愛という言葉をあえて使わずに、社会病理シンボルの無差別殺人等をメタファーに愛を表現している。「昔話」は、逆さまになったハートが象徴的で、愛情と鬼というキーワードでうまくまとめており、時代性や価値観の変化を感じさせる。
審査委員
児島 令子氏
今回は、家族、恋人、人類など、愛というテーマのとらえ方が多様で表現も例年以上に幅があった。「次のページで…」は世相を反映したドキッとする切り口から愛に着地させる荒技が光った。「だれかぼくの…」は、人は誰かの愛情で自己確認をするという本質的なことを、不思議な違和感を持つ絵と言葉が静かに鋭く訴えていた。「親不孝な息子」は、他人事風になりがちな環境問題を、親子愛に置き換え自分事として再認識させたコピーワークが秀逸。
審査委員
佐藤 可士和氏
毎回難しいテーマに対し、物のとらえ方で驚かせる作品を期待している。「だれかぼくの…」は訓練されたスキルとは違うパワーがあり、可能性を感じさせた。広告表現の方法や技術ばかり考えていては、広告の社会における価値がなくなるのではないか。「昔話」はべたつきがちなテーマを、からっとしたアプローチで表現している。アートディレクション、コピー、コンセプトの立て方などトータルのバランスで高い評価を得た。
審査委員
副田 高行氏
入賞作品で愛が素直に伝わるものは少なく、ほとんどがネガティブな訴求をしていて、時代を反映していた。その中でデザイン賞の「愛は大きすぎると…」はポジティブな表現で、温かくやさしかった。新聞広告が活性化し、今後も生き残るには、改めて新聞広告らしい素晴らしい広告が必要だ。最優秀賞の「次のページで…」が新聞の1ページとして入ると、とても衝撃的だ。
審査委員
服部 一成氏
「愛」にまつわる、表面的で口あたりのいい言葉があふれている時代に、このテーマをどう考えるか。「昔話」は、おばあさんが桃を平然と見送る無関心が怖い。愛とは、例えば大きな桃が流れてきたら、とりあえず拾う行動のことだ、と気づかされる。「だれかぼくの…」には、名前は愛情のひとつの形だ、という視点があり、なお立ち止まり考えさせる力がある。「愛は大きすぎると…」は、ありふれたモチーフをデザインの工夫で新鮮に見せた。
審査委員
前田 知巳氏
ほかの審査でも感じるのだが、わざわざ自分から「新聞広告らしさ」にとらわれた作品が多いように思う。そういう余計な先入観なしで、自由にゼロからチャレンジできるところに、こういうコンテストの役割はある。今回も「愛」という、つい正論をそのまま伝えたくなるテーマだからこそ、そこを軽やかに飛び越えている作品を選んだつもりだ。「昔話」は、一見、優等生ではない。しかしほかにはない新鮮な存在感があった。