新聞広告クリエーティブコンテスト

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2017年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」結果発表

テーマは「捨て犬・捨て猫問題」

クリエーターの副田高行氏(審査委員長)、一倉宏氏、児島令子氏、照井晶博氏、服部一成氏と新聞協会広告委員会の正副委員長が、1127点の応募の中から入賞作品を決定しました。
このコンテストは、若いクリエーターの皆さんに新聞広告を制作する機会を提供し、新聞広告の可能性を広げてもらうために実施しています。
入賞作品と最終審査に残った作品を、日曜日を除く10月12日(木)から21日(土)まで(15日⟨日⟩を除く)日本プレスセンタービル1階(東京・内幸町)で展示します。また、横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)では、休館日を除く11月1日(水)から2018年4月1日(日)まで入賞作品を展示します。

※画像をクリックすると拡大します
※カッコ内は所属、敬称略
[略号凡例]
CD=クリエーティブディレクション、AD=アートディレクション、CP=コミュニケーションプランナー、C=コピー、D=デザイン、Ph=フォト、I=イラスト
最優秀賞
受賞者

「カワイイ?」
代表=平澤佳子(東京アドデザイナース)

CD・C= 平澤佳子(写真中央)
CD・AD・D= 野田智菜実(東京アドデザイナース/写真左)
Ph= 北川礼生(同/写真右)

○講評
インパクトのある猫のビジュアルと鋭いコピーが審査委員からの支持を集めました。「動物を飼うことは命に関わることだと警鐘を鳴らしている」(一倉委員)、「世の中のカワイイ志向と、捨て犬・捨て猫問題。二つの事象を一つのメッセージに昇華している。コピーとビジュアルの関係も絶妙だ」(児島委員)、「瞬間的にかわいいと言いがちな世情に対するメッセージが込められている」(照井委員)、「猫の表情を捉えた写真をうまく生かしたキャッチーな表現」(服部委員)との評価を受け、最優秀賞に選ばれました。
副田委員長は、「何に対しても『カワイイ』の一言で済ませてしまう現代の風潮への皮肉も感じられる。最優秀賞は、若いクリエーターや今後の新聞広告に影響を与える作品を、という思いで選んでいる」と語りました。

○制作意図
捨て犬・捨て猫問題は、捨てた本人やペットを飼っている人だけの問題でしょうか? ペットを捨てる人を非難するだけではなく、自分も捨てる側になる可能性をはらんでいることに気づき、みんながこの問題を考えるきっかけをつくりたいと思いました(平澤)。

○制作代表者プロフィル
1985年新潟県生まれ。保育士などを経てコピーライターへ。東京アドデザイナース所属。

優秀賞
受賞者

「殺処分を、見に行こう。」
代表=柳元良(メディアハウスクリエーション)

CD・C= 柳元良(写真左)
D= 小林哲也(メディアハウスクリエーション/写真右)

○講評
刺激的なコピーが審査委員の注目を集め、「捨て犬・捨て猫」問題イコール殺処分という捉え方について激論が交わされました。「捨て犬・捨て猫問題の現実を見て、解決しようと考えている。実際に殺処分を見には行かないだろうが、その提案は評価したい」(児島委員)、「あえて強い表現を使うことで、自分とは無関係であると言い切れない現実を突き付けている」(照井委員)、「現実を知ることの重要さを端的な言葉だけで強烈に訴えている」(服部委員)との評価で、優秀賞に選出されました。

○制作意図
ペットを捨てる飼い主が後を絶たないのは、捨てたペットの行く末を想像しきれていない、あるいは無意識的に想像しないようにしているからではないか。そんなことを思い作った作品です。動物たちの最期を「見に行こう」と訴えることで、さまざまな議論が生まれ、この深刻な問題を直視するきっかけにできたらと考えました(柳元)。

○制作代表者プロフィル
1986年埼玉県生まれ。メディアハウスクリエーション クリエイティブコミュニケーションセンター所属。コピーライター/ディレクター。

コピー賞
受賞者

「インターネットで知り合いました。」
代表=竹内希光(電通東日本)

CD・C= 竹内希光(写真左上)
C= 髙畑陽平(読売広告社/写真左下)
髙橋琳太郎(横浜市役所/写真右下)
AD・D・I= 馬場美邦(アバランチ東京/写真右上)

○講評
犬や猫を擬人化して人間社会に置き換えた作品で、「テーマに対する解決策が具体的である」(一倉委員)、「今回のテーマに対する解決策やその糸口を提案してもらいたかったが、それに一番近いコピーを書いている。SNSで飼い主を募集することは、それほど手間をかけずに実行できる」(児島委員)、「地味な作りだが、捨て犬・捨て猫を減らす具体的な一つの方法を提示しようとしていて、他の応募作とは異なるスタンスだ」(服部委員)と評価されました。

○制作意図

“かわいそう”と伝えるだけでなく、その先にある解決方法を提案し、人が動くアイデアを実現できないだろうか。そこでたどり着いたアイデアが、「捨てることを考える前に、インターネットで新しいもらい手を探そう」というコンセプトでした。人と人がネットで出会い、つながることができるこの時代に、人と犬、人と猫だって簡単に出会うことができる。捨てられる命をなくし、みんなで命をつなげていく、そんな世の中になることを願っています(竹内)。

○制作代表者プロフィル

1990年福井県生まれ。読売広告社、1→10driveを経て、電通東日本入社。

デザイン賞

「名前をつけたときの愛を、もう一度。」
代表=辻岡翔(電通)受賞者

CD・C= 鎌田明里(電通/写真中央)
AD= 辻岡翔(写真左)
CP= 中山桃歌(電通/写真右)

○講評
「捨て犬・捨て猫問題」というテーマそのものを問うかのような作品で、「名前をつけた時の愛情を思い出すよう、ペットの名札で表現したアイデアがいい」(副田委員長)、「固有名詞の固有性で、強く訴え掛けている」(一倉委員)、「一度は愛された犬猫たちの捨てられた切なさを、無言のネームタグの提示が静かに訴えている」(児島委員)、「句点を付けずにコピーを書いている。考え続けること、行動し続けることが大事だというメッセージなのかもしれない」(照井委員)、「他の上位作品よりもむしろ問題の核心に近いように思う」(服部委員)と高い評価を得ました。

○制作意図
捨てようと思っている犬に、愛情を込めた名前をつけるでしょうか。名前を考えていたとき、飼い主にそんな気持ちはかけらもなかったはずです。そういう初心の愛情を、捨てようか迷ったときに思い出してほしくてこの作品を作りました(鎌田)。

○制作代表者プロフィル
1990年大阪府生まれ。武蔵野美術大学大学院卒。2017年電通入社。アートディレクター。

学生賞
受賞者

「捨てるくらいなら 食べてくれ」
石野謙介(大阪大学大学院)

○講評
デジタルで容易に制作できる中、あえて手書きのビジュアルを使い、デリケートなメッセージを表現した点が評価されました。「犬目線で言っていることがよい。これが新聞に掲載されるとなかなか衝撃的だ」(照井委員)との意見が挙がったほか、「稚拙だが、おそろしく素直な表現に学生らしさを感じた」(副田委員長)と評価されました。

○制作意図

ペットの投げやりなせりふで、どれだけ捨てられることが嫌なのかを訴え掛けました。フォークを上品に渡す様子に飼い犬らしさを表現。シンプルかつ手書きとすることで、哀れさが伝わるようにしました。また、大げさな表現とすることで、印象に残る広告を意識しました(石野)。

○プロフィル
1993年神奈川県生まれ。大阪大学大学院在学中。

クリエーター審査委員

副田高行氏
(審査委員長、
アートディレクター)
一倉宏氏
(コピーライター)
児島令子氏
(コピーライター)
照井晶博氏
(コピーライター)
服部一成氏
(アートディレクター)

2017年度新聞広告クリエーティブコンテスト審査会風景