新聞広告賞

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 日本新聞協会は9月7日、新聞広告大賞を全国農業協同組合中央会の「平成22年度JA全国連統一広報『大地がくれる絆を、もっと。』」に贈ることを決めました。第31回新聞広告賞の受賞者とともに発表しました。
 新聞広告賞は、新しい新聞広告の可能性を開拓した広告活動を顕彰し、新聞と広告の発展に資することを目的に、1981年に設けられました。広告主企画と新聞社企画の2部門から成ります。新聞紙上で優れた広告活動を展開し、顕著な功績をあげた広告人、新聞人に対し贈られます。
 贈賞は10月20日(木)、東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれる第54回「新聞広告の日」記念式典で行われます。新聞広告大賞には賞状、故・高田博厚氏制作のブロンズ記念像のほかに純金製記念メダルが、新聞広告賞の受賞者には賞状およびブロンズ記念像または賞牌が、それぞれ贈られます。
 第31回新聞広告賞には、広告主企画部門442件(単独広告主437件、複数広告主5件)、新聞社企画部門36件(単独企画34件、共同企画2件)の計478件の応募があり、大賞1件、新聞広告賞10件を選定しました。また、広告主企画部門について10件の優秀賞を、新聞社企画部門について5件の奨励賞を選びました。7月22日開催の選考委員会(日本新聞協会広告委員会)で入賞作品を決め、9月7日開催の日本新聞協会理事会で承認しました。

[広告主企画部門・大賞]1作品(敬称略)

平成22年度JA全国連統一広報「大地がくれる絆を、もっと。」
全国農業協同組合中央会 会長 萬歳 章

【受賞理由】

 全国農業協同組合中央会が、2010年9月29日に実施した「平成22年度JA全国連統一広報『大地がくれる絆を、もっと。』」は、同会の基本理念である相互扶助の精神を端的に表現したビジュアルで、企業への共感を訴求し、社会における絆の重要性を示した広告である。

 JAは長年、農村地域における協同組織として、組合員のさまざまなニーズに応えてきた。農業には欠かせない、同会の活動の原点にある「協同の心」を、水田のあぜ道で何百人もの大人と子どもがつないだ手を高く掲げたビジュアルにより、見事に表現している。農業における人と人、そして人と自然との密接なつながり、地域に支えられる全国各地のJAの思いを余すところなく伝え、グループの活動のみならず、農業そのものに対する読者の理解を大いに促した点が高く評価された。

[広告主企画部門・新聞広告賞]5作品(広告主名50音順、敬称略)

宝島社・企業広告「日本の犬と、アメリカの犬は、会話できるのか。」
株式会社宝島社 代表取締役社長 蓮見 清一

【受賞理由】

 宝島社が、2010年9月2日に掲載した「宝島社・企業広告『日本の犬と、アメリカの犬は、会話できるのか。』」は、敢えて問いかけのみで構成された紙面で読者の注意を引きつけ、さらにその意味を考えてもらうことで、企業ブランドの訴求にとどまらずそのビジョンをも示した企業広告である。

 出版社として、コミュニケーションの重要性を訴えるため、全30段の紙面を、2頭の犬の写真とコピーのみを配した大胆かつシンプルなクリエーティブで構成し、広告の問いかけに対して読者がその意味を考える作りとなっている。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストにも同様の広告を掲載し、国内外で多くの反響を呼んだ。情報をそぎ落として読者自身が答えを出すというコンセプトは、新聞広告の新たな可能性を広げるものとして、高く評価された。

東芝白物家電80周年キャンペーン
株式会社東芝 取締役 代表執行役社長 佐々木 則夫

【受賞理由】

 東芝が、2010年12月27日から11年3月6日までに実施した「東芝白物家電80周年キャンペーン」は、同社がこれまで販売してきた家庭用電化製品の発展の歴史をたどることで、その技術力と企業姿勢を継続的に読者に訴求した、シリーズ広告である。

 東芝が、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの白物家電を日本で初めて製作して80周年となるのを記念し、各1号機から現在に至るまでの製品を紹介している。主婦の家事への負担を軽減するうえで、家庭用電化製品が果たしてきた役割を訴求し、豊かな暮らしを実現する同社の技術力、そして生活に密着する企業姿勢を表現した。その歴史を、母娘三代にわたる歩みになぞらえた企画の広がりが、高く評価された。

JRA GIレース告知シリーズ
日本中央競馬会 理事長 土川 健之

【受賞理由】

 日本中央競馬会が、2011年2月16日から実施している「JRA GIレース告知シリーズ」は、競馬から離れた休眠ファン層の再開拓を図るため、往年の名馬たちとそれらに思いを託した人々の架空の物語を各レースにあわせて掲載し、ドラマ性に満ちた競馬の奥深さを改めて表現したシリーズ広告である。

 競馬人口が減少を続けるなか、GIレースの告知を数々の名勝負を繰り広げた名馬たちを巡るドラマをストーリー仕立てで展開し、現役ファンのみならず休眠ファン層にも競馬が持つ魅力、ロマンを思い起こさせた。サラブレッドの力強さと美しさを強調した躍動感あふれるビジュアルと読みごたえのあるストーリーが高度に調和し、高い評価を得た。

三井住友銀行 企業広告「2010年、神戸」
株式会社三井住友銀行 頭取 國部 毅

【受賞理由】

 三井住友銀行が、2010年12月31日に掲載した「三井住友銀行 企業広告『2010年、神戸』」は、新聞記事を直接とりあげた構成で地域に明るい話題を提供することにより、読者のみならず地元と企業との絆を強め、共感を呼び起こした企業広告である。

 神戸銀行を母体のひとつとする三井住友銀行が、2010年の地元紙から明るい話題の記事をピックアップし、広告を素材とした。国内の政治および経済状況に不透明感が漂うなか、地域の明るいニュースを一年の締めくくりの日に紹介することで、新しい年を迎えるにあたり、読者を元気づけた。新聞広告を起点として地域と企業のつながりを深めた企画内容が、高く評価された。

「できるはずがない」。そこに挑戦するから、森ビルなのだと思う。
森ビル株式会社 代表取締役会長 森 稔

【受賞理由】

 森ビルが、2010年11月8日および9日に掲載した「『できるはずがない』。そこに挑戦するから、森ビルなのだと思う。」は、「世界都市計画の日」に合わせ、新たな都市開発に向けた原動力を表現した企業広告である。

 森ビル社長(当時)の森稔氏が自ら東京・赤坂六本木地区の再開発を例に、半世紀にわたって都市づくりにかけてきた姿勢と取り組み、そして目指すものを全30段の紙面に活字のみで構成したシンプルかつ大胆なクリエーティブで読者の興味を喚起し、企業活動への共感を創出するとともにブランド向上に大きな役割を果たした。経営トップが真摯(しんし)にそのビジョンを語り、企業のスピリットを示したメッセージが、高く評価された。

[広告主企画部門・優秀賞]10作品(広告主名50音順、敬称略)

◇環境・CSR広告 「おいしさ、そして、いのちへ。」(味の素株式会社)
◇県民百貨店オープン告知(株式会社県民百貨店)
◇資生堂―銀座 未来計画(株式会社資生堂)
◇「目指してる、未来がちがう。」シリーズ(シャープ株式会社)
◇家に帰れば、積水ハウス。(積水ハウス株式会社)
◇「きたえた翼は、強い。」(全日本空輸株式会社)
◇LOVE FROM AIR NEW ZEALAND(ニュージーランド航空)
◇「つなげよう、日本。」キャンペーン(東日本旅客鉄道株式会社)
◇市民芸人発掘プロジェクト 芸人2 問0 (吉本興業株式会社)
◇飲酒運転撲滅宣言キャンペーン(飲酒運転撲滅宣言キャンペーン協賛49社)

[新聞社企画部門・新聞広告賞]5作品(会員名簿順、敬称略)

いわてのテとテ
岩手日報社広告局(代表=常務取締役広告局長 小野寺 勲)

【受賞理由】

 岩手日報社が2011年4月11日から実施している「いわてのテとテ」は、3月11日に発生した東日本大震災で地元新聞社が新聞広告で被災地と世界をつなぎ、被災者を勇気づけた企画である。

 世界中が応援しているというメッセージを届けることで岩手県民の心を癒すとともに、世界へ向けて岩手の生の声を届け、被災者の想いを伝えることにより「つながり」を創出することを狙った。

 「岩手からの想い」と「岩手への想い」をつなぐというコンセプトで、岩手日報本紙をはじめ、ウェブサイト、モバイルサイト、ソーシャルメディアにも展開。パソコンやモバイルで募集したメッセージをウェブサイトと新聞本紙に掲載するとともに、一部の避難所にも掲出した。通信設備が整わない被災地域に地元紙として果たした役割が大きいことが高く評価された。

静岡発。子宮頸がん啓発キャンペーン
静岡新聞社営業局(代表=取締役営業局長 村松 重治)

【受賞理由】

 静岡新聞社が2010年7月30日から11年3月までに実施した「静岡発。子宮頸がん啓発キャンペーン」は、若い世代が多く罹患(りかん)する傾向が強い子宮頸がんの無料検診が、20歳から始まることを若い世代に向けて啓発したキャンペーン企画である。

 ワクチンメーカーやがん保険会社などの協賛を得て、新聞紙面、別刷り特集、イベント、ウェブサイトなど多面的な切り口で若者へ訴求した。

 法律面などで制約の多い医療関係のキャンペーンを、NPO団体や日本産婦人科医会会長の協力により当事者目線で情報を発信し、啓発のためのウェブサイトには月間1万ページビューのアクセスがあるなど、新聞広告が子宮頸がんの認知向上に寄与したとして高く評価された。

福井でかなえるDream
福井新聞社営業局(代表=執行役員営業局長 山本 道隆)

【受賞理由】

 福井新聞社が2010年12月29日から11年3月30日まで実施した「福井でかなえるDream」は、県内出身者のUターン就職率が低いことを受け、県外に進学する前の高校生を対象に、地元企業の魅力と夢をもつことの大切さを伝えた企画である。

 福井に元気な企業があることを知ってもらうために、既存の就職情報誌、企業ガイドブックとは一線を画し、「夢」をコンセプトに展開。各企業の将来ビジョンや地域貢献などを「企業の夢」という形で紹介し、若手社員には各自の「夢」を語ってもらった。

 ガイドブックを読んだ高校生の福井県企業に対する印象も良く、地元の活性化に新聞が果す役割を再認識させたとして、高く評価された。

ウォーターリボン・アクション
神戸新聞社営業局(代表=執行役員営業局長 井田 眞治)

【受賞理由】

 神戸新聞社が、2010年3月22日から11年3月22日まで実施した「ウォーターリボン・アクション」は、15年前の阪神・淡路大震災で世界中から届いた支援への感謝の気持ちと「水」の大切さを改めて考え、今なお世界中で「水」に苦しむ人々を応援するために立ち上げた企画である。

 震災で浮き彫りになった水に関する様々な問題や水の大切さを改めて問い直す内容と、流通とのタイアップによる賛同商品購入により、売上金の一部を世界の水関連復興支援金として寄付される仕組みを作った。さらに、無店舗販売商品情報紙への掲載で店舗外での販売機会の創出を図ることに成功した。

 被災新聞社ならではの視点で、社会貢献につなげたことが高く評価された。

口蹄疫復興支援プロジェクト「いっぽ、いっぽ。宮崎」
宮崎日日新聞社広告局(代表=広告局長 岡本 哲)

【受賞理由】

 宮崎日日新聞社が2010年11月25日に実施した「口蹄疫復興支援プロジェクト『いっぽ、いっぽ。宮崎』」は、昨年宮崎県内で甚大な被害をもたらした口蹄疫から立ち上がろうとする県民を励ました広告企画である。

 同県出身の著名人へのインタビュー、在京ラジオ局との連動により都内で開催したイベントの様子と来場者から宮崎へ向けてのメッセージを掲載。また、復興に向けて「いっぽ」を踏み出すという願いを込め、処分された牛、豚と人の足形をかたどったロゴでメッセージカードを作成し、集められたカードをコラージュして視覚的に訴求した。協賛広告主からは、プロジェクトに対する反響の大きさを実感するとともに本県を応援する企業姿勢を示すことができたとの高い評価を得、地方における新聞社の使命を再認識させた企画として、高く評価される。

[新聞社企画部門・奨励賞]5作品(会員名簿順)

◇~ARASHI Meets MANGA~ 僕らの肖像(朝日新聞東京本社広告局)
◇毎日MONDAY(毎日新聞大阪本社広告局)
◇~松本本社創設60周年~ 「守りたい命があります 信州の絶滅危惧種」(信濃毎日新聞社広告局)
◇第59回全日本広告連盟岡山大会開催記念特集 岡山健康新聞(山陽新聞社営業局)
◇ひろしまイクメン応援キャンペーン2011(中国新聞社広告局)