[広告主企画部門・新聞広告賞]5作品(広告主名50音順、敬称略)
walk with you TOHOKU
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長 加藤 薫
【受賞理由】
エヌ・ティ・ティ・ドコモが2011年8月13日に掲載した「walk with you TOHOKU」は、「東北限定 ドコモへGO! ドコモECO! キャンペーン」開始にあわせて、東北6県9紙で展開された広告である。東北の復興に向けた「walk with you」とのメッセージをベースに、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の東北6県が持つ力強さや奥深さを、それぞれ異なるビジュアルで表現した。
東北各地の夏祭りシーズンというタイミングに、祭りをモチーフにしたビジュアルには各県の県民が登場し、「自分の姿を通じて、東北を元気にしたい」という思いが読者の共感を喚起した。復興に向けて「あしたへ。」共に歩むという温かいメッセージとなって伝わり、高く評価された。
広域処理広報「みんなの力でがれき処理」
環境省 環境大臣 細野 豪志
【受賞理由】
環境省が2012年3月6日に掲載した「広域処理広報『みんなの力でがれき処理』」は、東日本大震災の津波被害によって、岩手県と宮城県に発生した膨大な災害廃棄物(がれき)の全国の廃棄物処理施設での処理を呼びかけた広告である。
一日も早い東北復興を実現するために、公共性と社会への強い情報発信力を持つ新聞を活用し、広域処理について正しい情報が流通することを狙った。石巻市にうず高く積まれたがれきを、復興を妨げる壁に見立てたビジュアルとコピーは、メッセージ性が高く、社会への問題提起の起点となった点が高く評価された。
LED10年カレンダー
株式会社東芝 取締役 代表執行役社長 佐々木 則夫
【受賞理由】
東芝が2011年7月31日と12月24日に掲載した「LED10年カレンダー」は、白熱電球よりも10年と格段に製品寿命が延びたLED電球が、ある男性の人生の起伏とその変わりゆく日常を温かく見守り続けたことを10年分のカレンダーで表現した。
独身時代、新婚時代、子どもの誕生と、時が流れるに従って徐々に家族構成が変わる様子を影絵タッチで、細部にまでこだわったビジュアルは、あかりによって満たされる人の思いまでも巧みに表現した。LED電球の寿命の長さを、新聞広告の特長である「一覧性」「記録性」を活用して効果的に訴求している点が高く評価された。
カップヌードル40周年
日清食品ホールディングス株式会社 代表取締役社長・CEO 安藤 宏基
【受賞理由】
日清食品ホールディングスが2011年9月17日に掲載した「カップヌードル40周年」は、世界初のカップめんとして誕生したカップヌードルが発売40周年を機に、記念日の前日に展開したマルチ広告である。
夕刊1紙を丸ごと使い、カップヌードルの歴史や取り組み、企業理念を最大限に訴求。歴代カップヌードルの復活総選挙の結果発表や横浜にオープンした体験型ミュージアムの紹介など、同社ならではのスケール感で未来へのメッセージも表現している。他メディアやイベントとも連動して大きな効果を得、新聞広告の威力を発揮した点が高く評価された。
LED照明「三行広告の全面広告」
パナソニック株式会社 代表取締役社長 津賀 一宏
【受賞理由】
パナソニックが2012年3月30日に掲載した「LED照明『三行広告の全面広告』」は、「あかり」というパナソニックの原点でもある製品を取り上げ、もの作りと広告への変わらぬ思いを伝えた商品・企業広告である。
2011年5月から連載小説欄に毎日掲載されているLED照明の三行広告シリーズの30段見開きの中心に、創業者・松下幸之助氏が自ら考案した1927年のナショナルランプの新聞広告を据え、まさに85年前と変わらずに「たった三行の広告に多くの想いが込められている」ことを実感させられるクリエーティブは秀逸である。商品の認知度アップとともに企業ブランディングに奏功した点が高く評価された。
[新聞社企画部門・新聞広告賞]5作品(会員名簿順、敬称略)
東日本大震災復興キャンペーン 仙台七夕まつり「想いをひとつに」プロジェクト
河北新報社営業本部
【受賞理由】
河北新報社が2011年7月と8月に実施した「仙台七夕まつり『想いをひとつに』プロジェクト」は、東日本大震災で全国的に自粛ムードが広まる中で開催を決定した仙台七夕まつりにあわせ、県民の復興への願いや支援への感謝の気持ち、全国の人々の励ましや祈りの思いをのせた「折り鶴と短冊」を募集、仙台市内の複数会場に展示するプロジェクトを展開し、被災地宮城が再生と復興に向け、踏み出す契機となるよう、願いを込めた企画である。
「折り鶴と短冊」の募集は、紙面に折り紙と短冊を刷り込み、読者が参加しやすい工夫がされている。紙面だけでなく、ウェブサイト、新聞販売店、池袋・東京駅などでPRを行い、全国に支援の輪が広がり、国内外から大きな反響があり、折り鶴79万羽、短冊6万枚が寄せられるなど、新聞社の底力を再認識させた企画として、高く評価された。
【受賞理由】
山形新聞社が2012年3月から実施している「東北未来絵本キャンペーン」は、東日本大震災後、被災地から多くの被災者が山形県で避難生活を送っている中、被災地隣県の新聞社として、絵本作りを通して、東北の未来を生きる子どもたちに震災を語り継ぎ、未来を志向するきっかけとなることを狙った企画である。
震災を経験した人々から「言葉」を集め、その言葉をもとに子どもたちが絵を描き、一冊の絵本に紡いでいくという発想がユニークである。地元出身の絵本作家の協力を得て子どもを対象としたワークショップも開催し、絵本原画となる全長10メートルの作品が完成した。子どもへの参加を呼びかけている点も注目された。
復興支援、社会貢献を考えている企業から多くの支援があるなど、読者と広告主の思いをつないだ取り組みが高く評価された。
【受賞理由】
新潟日報社が2011年4月から9月までに実施した「いのちを話そう。」は、全国的に自殺率が高い新潟県の新聞社として「生きる」ことと「絆」に焦点をあてた広告キャンペーンを展開し、命の大切さについて考えてもらうことで自殺防止を訴求した企画である。
人、写真家、シンガーソングライターらの「いのち」にかかわるエッセーに対する読者からの意見や感想を掲載し、読者とのつながりを高めた。
自殺防止という難しい社会的テーマを新聞広告らしい表現で伝え、読者や協賛社の共感を得た。広告だけにとどまらず、県内の小学校、中学校を対象に「いのちの授業」を実施するなど、社会に寄り添い共に歩む新聞社ならではの企画力で社会貢献につなげたことが高く評価された。
第60回全日本広告連盟福岡大会開催記念広告特集
Dream More!PROJECT「宇宙兄弟×西日本新聞」西日本新聞社広告局
【受賞理由】
西日本新聞社が2012年3月から実施している「Dream More!PROJECT『宇宙兄弟×西日本新聞』」は、同社が「若い夢に、もっとチカラを」をテーマにスタートしたプロジェクトのコンテンツのひとつとして人気漫画「宇宙兄弟」を取り上げ、夢に向かって挑み続ける熱い思いを若者に伝えた企画である。
テレビアニメ版とコラボレーションした紙面は、ツイッターなどで大きな反響を呼び、若者に新聞広告への親近感をもってもらうことに成功した。また、広告協賛のページでは、「企業イメージ」×「夢」をモチーフにビジュアルを広告主企業から若者に向けられたメッセージコピーとアニメのシーンのみで構成し、新聞広告の新たな可能性を広げるものとして、高く評価された。
3.11東日本大震災3県4紙合同プロジェクト
岩手日報社広告局、河北新報社営業本部、福島民報社広告局、福島民友新聞社広告局
【受賞理由】
岩手日報社、河北新報社、福島民報社、福島民友新聞社が2012年3月11日に実施した「3.11東日本大震災3県4紙合同プロジェクト」は、東日本大震災から1年になる3月11日に被災県の4紙が合同で、震災を「風化させない」「教訓としていかしてほしい」との思いを表現した企画である。
1面フロントに4紙の題字が並ぶ8ページパノラマ別刷りに「あの日」と「いま」という切り口で被災地の現状と4紙の震災の翌日朝刊1面を再掲載し、新聞と新聞広告の力を余すところなく伝えた。200万部を発行し、全国43の地方紙の協力を得て別刷りを街頭配布した点も大きな話題となったほか、学校の授業でも活用された。被災地の新聞社として東北復興のために果たした役割が大きいことが、高く評価された。