新聞広告クリエーティブコンテスト

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2021年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」結果発表

テーマは「拡散・シェアしたくなる新聞広告」

クリエーターの副田高行(審査委員長)、一倉宏、川口清勝、照井晶博、服部一成各氏と、日本新聞協会広告委員会の正副委員長が、631点の応募の中から入賞作品を決定しました。
このコンテストは、クリエーターや学生の皆さまに新聞広告を制作・発表する機会を提供し、新聞広告の可能性を広げてもらうために実施しています。
入賞作品と最終審査に残った作品を、日曜日を除く2021年10月18日(月)から29日(金)まで日本プレスセンタービル1階(東京・内幸町)で展示します。また、11月以降横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)でも展示する予定です。

「新聞広告クリエーティブコンテスト」は今回で終了となります。前身の「『新聞広告を広告する』新聞広告コンテスト」から20年にわたり、たくさんのご応募にご協力いただきありがとうございました。


※画像をクリックすると拡大します
※カッコ内は所属、敬称略
[略号凡例]
略号はCD=クリエーティブディレクション、AD=アートディレクション、C=コピー、D=デザイン
最優秀賞
受賞者

「#拡散したくない」
青野高広(アド・ベン・コーポレーション)

○作品概要と講評
マスクの日焼け跡が残る子供の寝顔とシンプルなメッセージで、新型コロナウイルスの感染防止に努める人々の暮らしと終息への願いを表現した作品です。「コロナ禍での人々の生活や思いを、子供の寝顔を象徴的に使ってうまく表現している」(副田高行氏)、「『拡散』というテーマと、コロナウイルスがこれ以上拡散してほしくないという願いを上手なコピーで伝えている」(一倉宏氏)などと評価されました。

○制作意図
「#拡散したくない」が今、最も共感でき、世界中の人々が「拡散したい」メッセージだと考え制作しました。2020年、新型コロナウイルスによって世界が一変しましたが、特定の事業者や従事者だけでなく、クローズアップされていない普通の人たちの暮らしを忘れてはいけないと考えました。このウイルスをこれ以上世界に「拡散したくない」という思いや、戦い耐え続ける姿は世界共通です。この事態が早期に終息することを願っています。

○制作代表者プロフィル
1976年福岡県生まれ。アド・ベン・コーポレーション所属。デザイナー兼コピーライター。

優秀賞
受賞者

「拡散・シェアって(笑)」
河原努(ゴング)

○作品概要と講評
はるか昔から人類は道具や言葉を共有して文明を発展させてきた歴史を、原始人がユーモラスに語ることで、「拡散・シェア」の新しい視点を示した作品です。「逆説的にも見えるコピーだが、人類の歴史は拡散・シェアの歴史でもあることをユーモラスに伝えている」(照井晶博氏)、「拡散・シェアの普遍的な役割と課題を説く、原始人の軽妙な語り口が楽しい。絵も魅力的」(服部一成氏)などと評価されました。

○制作意図
諸説ありますが、人類は数万年も前から情報共有によって協力し合い進化してきたことを知り、着想を得ました。SNSを中心に今どきの流行としてちょっと浮ついて語られることの多い「拡散・シェア」ですが、「そんなもん何万年も前からやっとるわ!」というサピエンスのツッコミが、バズること自体を目的化してしまいがちな風潮について、読者が「何のための拡散・シェアか」を考えるきっかけになるのでは? そんなことを思いながら企画しました。コロナ禍の危機も、私たちは人類の真骨頂「情報共有と協力」によって乗り越えられると信じています。

○制作代表者プロフィル
1978年生まれ。福岡県出身。日本大学大学院芸術学部舞台芸術学科修了。ゴング所属。コピーライター。

コピー賞
受賞者

「届け」
代表=松木啓(DE)

C= 松木啓(DE) 
D= 中﨑誠矢(DE)

○作品概要と講評
スマートフォンに依存した生活を送る人に対し、スマホ以外の大切なものを見落としていないかと問題提起することに挑戦した作品です。「かなりキツイ表現だが、それだけ鋭い警告となっている」(一倉宏氏)、「スマホ依存と拡散・シェアとの密接な関係を、あらためてわたしたちに突きつけ考えさせるコピー」(照井晶博氏)などと評価されました。

○制作意図
「新聞紙面をスマホで見る」という、よくよく考えると不思議な状況を立ち止まって考えてもらうことに挑戦しました。新聞は「手触りのあるメディア」です。だからこそ、スマホによって私たちの何か大切なものが侵食されていないかということを問題提起できるのではと考えました。娘からパパに。親から受験生の息子に。彼女からデート中、スマホばかり見ている彼氏に。周りのスマホ中毒の人が、まさにスマホを見ているその瞬間に、「届け!」という思いでこのメッセージを拡散してもらえるといいなと思っています。

○制作代表者プロフィル
千葉県出身。2017年博報堂入社、2021年よりDE inc.所属。

デザイン賞
受賞者

「あなたのとりこ(たらこ)」
永田愛佳(福岡デザイン専門学校)

○作品概要と講評
人々の心を一瞬でつかむことができるよう、明太子を鏡に反射させたインパクトのあるビジュアルで、制作者が好きな「たらこ唇」の魅力を表現した作品です。「自分が好きな題材を使って真剣に自己表現している。一見しただけでは理解するのが難しい作品だが、新聞広告としてどのように作用していくか可能性を見てみたい」(川口清勝氏)などと評価されました。

○制作意図
私たち学生はSNSを主に活用しています。その中で「シェア」したくなる気持ちは、どれくらい一瞬で目に止まり心をつかむ魅力があるのかが大切だと考えました。そこで、私が魅力を感じるもの「唇」を題材として考えました。中でも「たらこ唇」は最高で、本物の明太子と鏡の反射を使って表現しました。キャッチコピーは付けず明太子の辛さやどっしりとした存在感を見て感じられると思ったからです。唇の魅力、明太子の魅力は、感じ方によって様々です。この広告があなたのとりこ(たらこ)になれば良いと思います。

○制作代表者プロフィル
2002年福岡県生まれ。福岡デザイン専門学校視覚情報デザイン分野在学中。

特別賞
受賞者

「誰かを傷つけるその前に。」
代表=橋本謙次郎(ミドリ‐ムシ)

CD・AD・C・D= 橋本謙次郎(ミドリ‐ムシ/写真中央) 
AD= ふわあやこ(ミドリ‐ムシ/写真右)
動画編集= 清森達士(清森達士映像デザイン事務所/写真左)

○作品概要と講評
「正しさ」は人それぞれに異なっている。誰かを傷つけてしまう前に立ち止まって相手を想像するために使ってほしいという願いを、「正」の漢字と二次元コードから見られる動画で表現しています。「二次元コードから誘導された動画はうまく作り込まれており、新聞紙面だけにとどまらない展開をしている」(日本新聞協会広告委員会)などと評価されました。

○制作意図
新聞のジャーナリズムという観点から、シェア・拡散するならパーソナルな「いいね」ではなく、社会への提言であってほしいという思いを込めて、昨今のSNSによる「誹謗(ひぼう)中傷」問題を取り上げました。時に人は正しさを振りかざして人を攻撃する、正しさって何なんだろう? そんなメッセージを二次元コードからのシンプルな動画に込めました。

○制作代表者プロフィル
1967年石川県生まれ。金沢美術工芸大学卒。広告代理店、学校講師を経て、現在フリーのデザイナーで活動する傍ら、クリエーティブユニット「ミドリ‐ムシ」としても活動中。

学生賞
受賞者

「とうさん、みて!」
村上珠美(日本デザイン福祉専門学校)

○作品概要と講評
制作者の母親が幼少のころ、自分の見た光景を父親に伝えようとするほのぼのとした写真を使い、コミュニケーションの持つ温かみを現代の人々に伝えた作品です。「人に何かを見せたくなるという拡散・シェアの原点を示している」(照井晶博氏)などと評価されました。

○制作意図
「拡散・シェア」という言葉には、SNS上でたくさんの情報が素早く消費されていく響きを感じます。時にはそのスピードから取り残されてしまうことがあるかもしれません。そこで、「拡散・シェア」を「新たな発見を人に教えたり、逆に教えられたりすること」「時代を問わず行われてきたこと」と捉えました。誰かにそっと教えたくなるような温かさのある広告を目指して、子どもがカメラ越しに見つけた景色を大人とシェアする様子を表現しました。

○制作代表者プロフィル
1990年東京都生まれ。日本デザイン福祉専門学校在学中。

クリエーター審査委員

副田高行氏
(審査委員長、
アートディレクター)
一倉宏氏
(コピーライター)
川口清勝氏
(アートディレクター)
照井晶博氏
(コピーライター)
服部一成氏
(アートディレクター)

2021年度新聞広告クリエーティブコンテスト 審査会の模様