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特集 幅広い世代に向けた新聞社ビジネスの可能性
2026.01.15

Vol.2
未来の読者への発信 ウェブサイトで模索
イベントで『ハルメク』世界を創出

株式会社ハルメクホールディングス
取締役、ハルメク編集長
山岡 朝子(やまおか・あさこ)氏

※2025年11月4日取材

――ウェブサイトの発信で目指すものは
雑誌の『ハルメク』は年金受給が始まる60代後半の女性がメインターゲットですが、ウェブサイトの「HALMEK up(ハルメクアップ)」は50代女性をターゲットにしており、2025年1月に「ハルメク365」からリニューアルしました。世代差を意識して、コンテンツの内容も紙媒体と切り分けています。

「HALMEK up」はデジタルとの親和性が高く、動画で情報を得ることにも慣れている方々に向けて提供しているサービスで、二つのことを狙いとしています。一つは50代という新しいボリュームゾーンを研究して、この世代にもいずれ『ハルメク』を利用いただけるよう発信に力を入れたいという挑戦です。

もう一つはデジタルコンテンツ提供の今後の在り方を模索するために取り組んでいます。今の60代は今後も紙媒体を読むと思いますが、将来の60代、70代の方は紙よりもデジタルを活用するだろうという避けがたい未来が見えています。ウェブサイトでは閲覧数を稼ぎ広告収入を得ることが一般的になっていますが、紙の雑誌のようにコンテンツでお金をいただきファンになっていただくという密着度の高い提供方法がウェブサイトでもできないかを探っており、その研究も兼ねた取り組みです。

かつては閲覧数に応じて広告料を得るという一般的な運用をしていましたが、これでは紙に代わるものを作りたいという目的が達成できないと思っています。広告収入になると広告主を意識してコンテンツを作ることになりますが、それでは我々らしくありません。お客さまから喜んでいただき、お金をいただくに値するコンテンツを作り、そこに集まるファンの皆さんに魅力を感じて協賛社に出稿していただく形がウェブサイトでも作れないか、試行錯誤しています。

――「HALMEK up」の登録者や内容について
ありがたいことに「HALMEK up」はコンテンツに力を入れるに従い、登録者数が増えています。以前は我々も60代、70代向けにコンテンツを作っていましたが、なかなか見ていただけず、この世代の方はあまりデジタルコンテンツを活用しないことに気づきました。その後、ハルメクグループが「プレシニア」(50~64歳)と定義する世代に団塊ジュニアの方がさしかかったタイミングで、「デジタル×プレシニア」のアプローチに切り替えました。登録者数は増えていますが、リニューアルを機に内容を子どもの受験、美容医療、更年期など50代に関心が高いコンテンツにシフトしたことで、「世代的に自分は関係ない」と退会する方もいるので、過渡期だと思います。

ウェブサイトは新規事業なので、売上高は雑誌の方が圧倒的に大きいです。ただ、「未来を作りたい」という気持ちで取り組んでいるので、「HALMEK up」は非常に重要な新規事業として位置付けています。

ウェブサイト「ハルメクevents」では講座やイベントを予約、視聴できる

――イベントの提供価値とは
当社が実施するイベントでは、読者に雑誌『ハルメク』のリアルの世界を体験していただいています。これは「コト消費」という文脈の中で、未来のコンテンツの形になり得ると考えています。モノが充足して情報もあふれる中、シニア世代にとって今一番欲しいものは、特別な体験や悔いのない余生なのではないかと思います。

私たちが最近力を入れているのが、『ハルメク』らしいコンテンツとして特別な一日を体験していただくイベントです。なかなか手に入らない観劇のチケットを手配して名店でのお食事や観劇の解説を聞く時間を作り、『ハルメク』仲間としての一日を設計してご提供しています。ハルメクが広い意味のコンテンツとして特別な一日をお届けするのは有意義なことであり、好評いただいています。他にも雑誌に連載を持つ先生が体操や化粧の仕方などを講義するイベントを実施しています。基本的にはイベントもコンテンツの一つとして提供しているので、有料です。

中には非常に高額なイベントもあり、1人12万6千円で実施したこともありましたが、完売しました。数時間のイベントにかなりの高額という印象もありますが、フレンチの名店でフルコースをいただき、一生忘れられないようなオペラを見て、幕合いにシャンパンをいただき、素敵な一日を過ごせたということが大事なんですよね。これこそが、我々がシニアビジネスで提供できる重要な価値だと思います。

――新聞について
最近自宅で子ども新聞を購読し始めました。子どもは最初読み方が分からず紙の順番もばらばらになっていましたが、数か月経つと突然首相交代の話をするようになりました。子ども向けのメディアや動画しか見ていなかったらそんな話は出てこないと思うので驚きました。新聞は一覧性があるので、自分の知らなかったものに出会える点で老若男女問わず素晴らしいと思います。

インターネットにはフェイクニュースも多いですし、特にシニアの方にとって信頼できる情報はとても重要です。当誌がご支持いただいているのも健康情報やニュースの解説に専門家の監修をつけて信頼できる情報を提供しているからだと考えます。新聞は信頼性が高い情報の最高峰だと思いますので、それが強みであり広告レスポンスのある理由だと思います。

※「HALMEK up」ウェブサイトはこちら
 「ハルメクevents」ウェブサイトはこちら

山岡 朝子(やまおか・あさこ)氏
株式会社ハルメクホールディングス 取締役、ハルメク編集長
大阪大学文学部を卒業後、総合出版社に入社し雑誌編集者としての道を一貫して歩む。2004年から13年間にわたり、主に生活実用誌やインテリア誌など7誌の編集長を歴任した後、17年に株式会社ハルメクに入社。同年8月より『ハルメク』編集長に就任し、部数を5年で3倍に成長させる。21年6月取締役に就任。

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