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特集 リクルーティング広告の展開
2026.03.10

今回の特集は、企業や学校の人材募集での新聞広告の活用を取り上げます。
人材募集で新聞広告を活用することは、幅広いターゲットに対し認知度を高めるだけでなく、企業の事業内容や学校の特長を周知できるなどブランディングの点でも効果的です。最近では地域や業界の働き手減少という課題解決に寄与するための企画も見られます。
本特集ではまず、採用活動の傾向と企業の情報発信における課題などについて、株式会社マイナビの長谷川洋介氏からお話を伺いました。その上で企業(住友理工株式会社)、地方自治体(島根県)、大学(中央大学)から、新聞広告を活用した実例を紹介いただきました。

「卒業生をよろしく」 新聞で人材育成を伝える「攻めの広報」

学校法人中央大学
広報室長
村上 毅(むらかみ・たけし)氏

広報室広報課副課長
松岡 亜希子(まつおか・あきこ)氏

※2025年12月18日取材

――2025年3月31日付産経新聞掲載の「中央大学卒業生をよろしく」広告について
村上氏:以前から大学の広報は一般企業に比べてブランディングが遅れているという課題がありました。本学では創立130周年にあたる2015年度に、その後の10年間を見据えた中長期事業計画「Chuo Vision 2025」(2016~25年度)を策定し、21年度からは「広報・ブランド力」の強化に向けて広報室が統括する方針が示されました。これを受け22年に作成した「中央大学 ブランドブック」では、ユニバーシティーメッセージである「行動する知性。」を体現する人材を育成する大学として、ブランド体系を整理しました。

本学は堅実で奥ゆかしい面を持ちながらも社会で活躍する卒業生を多く輩出しています。教職員にも、建学の精神に裏打ちされた優秀な人材を育成している自負があります。中央大学はそのような人材を社会に送り出していることを周知するため、新年度が始まる前日の25年3月31日に教職員一同からのメッセージとして「社会の皆様、明日から中央大学卒業生をよろしくお願いいたします」と伝える新聞広告を掲載しました。

さまざまな企業や新聞社から知見をいただきながら、デザインやプロセスも含めて検討しました。掲載紙の産経新聞社には勉強会を重ねて本学の良さや打ち出し方を深く理解していただいた上で、企画をまとめました。

本広告のボディーコピーに「本学の学生は必要な学びを修め、社会に貢献できる人材に育ちました」「中大生は、時に奥ゆかしく自らの母校をことさら誇示しないかもしれませんが、大学のアイデンティティである『行動する知性。』をそれぞれが備え、実社会が求める人材に育ちました」といった表現を散りばめ、ブランドブックの内容を盛り込みました。こうした言葉選びはなかなかできないと思いますし、本学のことをよく分かっていただいている新聞社と組まないと、このような展開はできなかったと思います。

複数のキャンパスが沿線にあることから、東京メトロ丸ノ内線でも3月31日から1週間、車内広告を展開しました。産経新聞社のSNS投稿に共感したインフルエンサーが取り上げたことでリーチが数十万件に達するなど、大きな反響がありました。

松岡氏:人材を輩出することは大学の一つの使命ですが、これを大学から社会にたすきを渡すクリエーティブで表現しました。出場回数、優勝回数ともに最多を誇る箱根駅伝の強豪校として本学らしさを表現するため、たすきを渡す手の向きにもこだわって作りました。

――新聞広告を活用した理由は
村上氏:新聞広告はデザイン性が高く、インパクトのある展開ができると思っています。世の中にはさまざまな発信ツールがありますが、本企画のようにデザインと合わせてハートフルな内容を伝えるには、大きな紙面でリアルに伝えるプッシュ型でのアプローチが効果的だと考えました。

今回の企画では、新たに社会に出る卒業生の背中を押すこと、OG・OBの間で会話が生まれること、在学生やその保護者に本学に通ってよかったと思ってもらうこと、そして受験生や就活生、大学との連携を考えている企業などに中央大学と関わりを持ちたいと思ってもらうことを狙いました。本学で働いてみたい、一緒に社会実装する活動をしてみたいなど、本学に関心を持ってもらうための入口になるような効果も期待していました。その上で新聞広告での発信は非常に効果的だったと思っており、反響の大きさから手応えも感じています。

――広告展開への反響について
村上氏:新聞広告掲載後、在学生の保護者から「感激しました」という電話をいただきました。職員もうれしい気持ちになり、やりがいにもつながります。SNSにもさまざまな反応が寄せられ、「新年度から出勤するのでよろしくお願いします」という新卒業生の投稿もありました。「大学が卒業生を見守る応援はとても心強い」「あたたかい気持ちになりました」という感想から、多くの方の共感を得たのではないかと思います。学内からも好意的な反応があり、新聞とSNSを組み合わせることで多様な層に一定のリーチができたと考えています。

本学には戦前に掲げられた「家族的情味」という標語があり、「家族的でハートフル」「親切」「面倒見が良い」という意味を指します。戦後はあまり用いられない表現になりましたが、こうした校風は教職員にも共有されていたので、自信を持ってコピーを書くことができました。ヒアリングを重ねて丁寧に広告内容を検討してきましたが、皆さまからの反響は我々にとっても励みになりました。

――ブランドを伝えるための「攻めの広報」とは
村上氏:本学では昨今、意識して「攻めの広報」を展開しています。ユニバーシティーメッセージや建学の精神などのブランド価値を伝えるため、さまざまな企画を打ち出しています。

23年4月には新キャンパスの開校に合わせてラップアーティストのAuthorityさんが、各キャンパスの映像にラップを合わせて高校生や在校生への想いを表現した動画を公開しました(詳しくはこちら)。当初は受験者層の拡大を狙った取り組みでしたが、公開した際にはとても反響がありました。

25年7月からは社会の第一線で活躍する本学出身者へのインタビュー企画「実は私、中大出身で」を公開しています(詳しくはこちら)。最近では作詞家の秋元康さんのインタビュー動画を紹介しました。

奥ゆかしい校風なので、広報でも殻を破るまでに数年かかりましたが、ブランドブックを作成してラップ動画を公開すると「楽しく攻めているね」と反響を得られるようになりました。今回の新聞広告は、「攻めの広報」の中では奥ゆかしく安定的に伝えることを目指しました。

このように本学らしく「攻めの広報」を行っていることを学内、卒業生、さまざまなステークホルダーに届けて理解・共感していただくことを地道に積み上げています。奇抜なことはしませんが、中央大学らしいと思ってもらえるような変化球で打ち出していきたいと思っています。ブランド価値を大事にしながら、ステークホルダーへのコミュニケーションや対話の手法を使い分け、ターゲットに刺さるような発信を心がけています。

松岡氏:本学では教職員一人ひとりが広報パーソンであることを掲げています。広報室では大学のブランド力向上をミッションとしていますので、ステークホルダーごとに最適な広報媒体を検討し、戦略的に価値を伝えていくことが重要だと考えています。他大学の事例も参考にしながら考えていきたいです。

――新聞社や新聞広告に期待すること
村上氏:新聞社は若者への発信を意識した紙面展開などに注力している面もあるかと思います。紙ならではの強みを生かし、ターゲットとする人々に確実に届ける方法やデジタルとひも付けてリーチを拡大する手法など、発信にあたって大学だけでは難しい部分を新聞社にサポートしていただけるとありがたいと思います。企業のトップが課題への革新的なアイデアを募集する日本経済新聞未来面の連載に本学学生のアイデアが選出され、紹介されたこともあります。今後もさまざまな手法での発信に向けた連携支援をいただけるとありがたいです。新聞社とはそういった点で提案いただけるような良い関係性を作っていきたいと考えています。

松岡氏:新聞紙面のみでは掲載日の1日で展開が完結してしまう面があるので、それを拡散させて後でも読んでもらえるよう、デジタルを組み合わせて設計できると良いと思います。今後もさまざまな視点からアドバイスをいただきながら良い広告を出稿できればうれしいです。

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