声優、アーティスト。2007年に第1回「81オーディション」に合格以来、注目の若手声優の一人。TVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』(2012年)にて主役を務めるなど、数々の人気作に出演する。2012年第6回声優アワード新人男優賞受賞。声優の他、音楽活動など幅広く活躍。4月27日(水)には2ndミニアルバム「EGURand」を発売予定。
声優、アーティスト。2007年に第1回「81オーディション」に合格以来、注目の若手声優の一人。TVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』(2012年)にて主役を務めるなど、数々の人気作に出演する。2012年第6回声優アワード新人男優賞受賞。声優の他、音楽活動など幅広く活躍。4月27日(水)には2ndミニアルバム「EGURand」を発売予定。
人気作品のキャラクターを数多く演じる声優の江口拓也さんは、新聞奨学生として専門学校の声優・俳優科に通い、そのキャリアをスタートさせました。新聞配達と学業の両立について、「本当に大変だった」と振り返りつつ、新聞奨学生として働き、学んだ日々が「大きな自信になった」と話されました。新聞奨学生の生活とはどんなものか、そしてその経験は後にどう活きるのかなど、さまざまなお話を伺いました。
声優の夢をかなえるためのスタート
声優という仕事を意識するようになったのは高校生のとき。ラジオから流れてくる声優の軽妙なトークに夢中になり、「声優はラジオパーソナリティーもやるんだ」と、その世界が気になり始めたんです。そして声優の専門学校に通いたいと考えるようになりました。ただ当時は、今のように声優の仕事がメジャーではなかったこともあり、両親は大反対。「自力でなんとかしよう」と調べるなかで見つけたのが、新聞奨学生という選択肢でした。寮があって生活の基盤を固められる新聞奨学生は、まさに渡りに船でした。
その頃の僕は三度の飯よりも寝ることが好きだったので、朝が早い新聞配達には不安もありました。でも、「大好きな睡眠を差し出すほど自分はこの挑戦に本気なんだ」と腹を括ることができたのだと思います。
新聞奨学生をやり遂げた経験が大きな自信に
高校卒業してすぐに寮に入り、翌日から新聞配達をはじめました。経験した人は分かると思うのですが、新聞を積んだ自転車は、すごく運転しづらいんです。だからといって、積み込む量を減らすと何度も販売所に戻らなくてはいけませんから、運転のコツをつかむまでに少し時間がかかりました。ただ配達に関しては、ベテランの方がいろいろと教えてくれますし、だんだん慣れていく。新聞を抱えながら、エレベーターのないマンションの5階まで上がる体力的な大変さはあります。しかし、夜明けのなか自転車をこいでいると、まるで世界に自分一人しかいないような感覚になるときがあり、その特別感を楽しむ余裕も出てきました。
本当に大変だったのは学業との両立です。これは自分1人で頑張るしかない。3時に起きて、新聞を配り終えるのが早くて6時半。それから食堂で朝食をとって学校に行く毎日。稽古がある日は、夕刊を配り終えてから学校に戻って参加することもありました。その頃の睡眠時間は平均で3時間。楽しみといえば休日の前に、目覚ましをかけずに寝ることでした(笑)。
今振り返っても「よく頑張ったな」と思います。苦労しながら学費を払っているからこそ、「他の人に負けてたまるか」と闘争心を燃やし続けることができたと思います。新聞配達と学業の両立を2年間やり遂げたことは大きな自信になりましたし、困難な場面が訪れても、涼しい顔で立ち向かえるようになりました。
「やってみたい」の情熱を大切にしてほしい
おかげさまで色々な作品に参加させていただく機会も増え、新聞を配達しながら声優を目指していたあの頃と比べると、多少の手ごたえはあります。それでもまだ満足したことはなく、真っ暗なトンネルの中を全速力で走っているような感覚は今も続いています。経験していないことはどんどん経験したいし、苦手なことは一つひとつ潰していきたい。努力してきたと言い切れる経験があるから、演じられるキャラクターも多いはず。これからも自分を磨き、さらなる未知に挑戦し、新聞配達をしていた頃の僕が納得できるような結果を残したいと思っています。
これから僕のように新聞奨学生として、学業との両立を目指す人もいると思います。その情熱を大切にしてほしいし、「その経験は、かならず生きるうえでのエネルギーになる」とエールを送ります。新聞配達に関することは、あれこれサポートしてくれる人がいるので大丈夫。そこに学業をプラスして、やり通せるかどうかは自分次第です。自分の本気度を試すという意味で、まずチャレンジしてみることも、価値のある経験だと思いますよ。