NSK ニュースブレチン オンライン
2001年12月

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*JANPS(JAPAN NEWSPAPER PRODUCTION SHOW)2001開催
*産経新聞が東京本社版の夕刊廃止へ
*雅子妃殿下女児出産で、号外、特番
*NSK研修計画で欧州5記者が日本で4週間取材
*日米記者交換計画来年2月実施
*Topics
--愛媛新聞社、中国・大連晩報と記事交換
--民放50周年記念大会開催
--電通が上場
--外国メディアとの定例会見スタート
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JANPS(JAPAN NEWSPAPER PRODUCTION SHOW)
2001開催

 第16回新聞製作技術展(JANPS=JAPAN NEWSPAPER PRODUCTION SHOW 新聞協会主催、日本新聞製作技術懇話会協賛)が11月13日から4日間、東京国際展示場で開かれ、新聞製作メーカー44社が省力化や作業効率化、多メディア化などへの対応を目的とした最新の新聞製作技術を展示した。特にCTP(コンピューター・トゥー・プレート)やNewsMLに対応したシステムが注目を集めた。開催中の入場者数は19,127人で過去最高となった。JANPSは日本新聞製作技術懇話会加盟の新聞製作メーカーが隔年で最新の新聞製作機器を展示する機材展。

 今回、入場者の関心を集めたCTPは、フィルム制作工程を省き、コンピューターの紙面データから直接刷版を製作するシステム。金田機械、日本システム技術、富士写真フイルム、松下電送グラフィックプリンティングなどのブースで実演展示が行われた。

 日経、信濃毎日、高知の各新聞社は既に導入している。版材が割高との課題もあるが、東洋インキは従来のPS版を使用できるCTPを、ドイツのメーカーと共同で開発、来年六月に日本で発売すると発表した。

 上流工程では、記事情報集配信のための世界共通フォーマットNewsMLやXMLを利用した素材管理システム、組み版システムが注目を集めた。広告原稿や取引データのEDI化の普及をにらんで、広告関連のシステムの展示も活発だった。十五社が広告管理、広告電子送稿、カラーマネジメントのシステムを紹介した。大日本スクリーンは、広告データの受信から紙面掲載まで、一貫してデジタル化したシステムを展示した。

 下流では、東京機械やゴスグラフィックシステムズジャパンが輪転機同士あるいは各版胴を連結していたシャフトを省くことで省エネ、省スペース化などを実現したシャフトレス輪転機を展示、実演し、多数の観衆を集めた。また、離島など遠隔地での印刷や海外紙を少部数印刷したいなどのニーズに対応できるオンデマンド印刷のシステムを提案、実演した社もあった。


産経新聞が東京本社版の夕刊廃止へ

 産経新聞社は11月7日、来年4月から東京本社発行の夕刊を廃止し、朝刊単独紙にすると発表した。月決め購読料は現行の3,850円から統合版と同じ2,950円に値下げする。大阪本社管内では現行の朝夕刊セット体制を維持する。

 清原武彦代表取締役社長は同日、東京本社発行の夕刊廃止の理由について、首都圏での夕刊発行部数の顕著な落ち込みを挙げ、朝刊単独への移行により?必要なニュースをバランスよく整理して掲載し、解説などを充実させ、新聞の一覧性、記録性、解説性を最大限に発揮する?優れた商品を低廉価格で提供する――と強調した。

 産経の発行部数(9月、ABC)は、大阪本社の朝刊部数約120万部、夕刊64万部に対し、東京本社は朝刊約82万部、夕刊25万部。東京本社発行の夕刊はここ10年間で十万部以上減っていた。夕刊廃止に伴う広告・販売収入減は、部数増と経費削減でカバーする意向だ。第一段階として東京本社で100万部を目指すほか、来年から始める5か年計画の中で、少なくとも3年間で200人、5年間で300人の人員を削減する方針。

 日本の日刊新聞は一部を除き、朝刊、夕刊セットで一つの新聞という考え方に基づき作られている。セットの考え方は19世紀末には示され、1904年の日露戦争開戦を契機に人々は新聞の速報を待ち望むようになり、1日に新聞を何度も読む習慣が生まれ、以降、第2次世界大戦終了前後の用紙統制が行われた時期を除き、朝夕刊セットが定着した。しかし、朝夕刊で1部と数えた場合のセット部数は過去20年間微減傾向にあり、1990年代以降は発行部数に対するセット部数は40%を切った。各紙は夕刊の紙面改革を通じて、読者のニーズを探っている。

 産経は、朝日、毎日、読売、日経とともに、東阪に本社を置く全国紙。1933年、日本工業新聞の題号で創刊。50年3月、東京・大阪本社発行体制を整え、53年6月から朝夕刊セット制を実施した。


雅子妃殿下女児出産で、号外、特番

道行く人が奪い合うように手を出した読売新聞の「雅子さま 女児ご出産」の号外(横浜市・JR桜木町駅前で)=読売新聞社提供

 皇太子妃殿下雅子さまが1日午後2時43分宮内庁病院において女児を出産されたのを受け、新聞各社は同日夕刻に、都内主要駅周辺、各県庁所在地、主要地方都市などで号外を発行した。また、放送各局は番組を中断、特別番組に切り替えた。

 朝日、毎日、読売の3大紙は全国の主要都市で通常の号外を大きく上回る55万部から80万部の号外を発行、日経、産経、スポーツ紙各紙も5〜8万部を発行した。また、英字紙はデイリー・ヨミウリ、ジャパンタイムズがそれぞれ東京都内ホテルなどで1万部以上の号外を出した。

 東京・銀座、新橋などをはじめ、週末の夕暮れ時の繁華街で配布された各紙号外はまたたく間になくなった。記念に持ち帰る人の姿も見られた。読売は、スーパーマーケットのイトーヨーカドーや全日空から配布したいとの要請を受け、特別に号外を提供した。このほか地方紙45紙が号外を出した。

 NHKと、テレビ東京を除いた民放キー局4局も一斉に報じ、特別番組を編成した。ただし、ビデオリサーチの調べによれば、テレビ東京の通常番組のほうが他局の特別番組より高い視聴率となるなど、メディアの熱狂的な報道に対して冷静な受け止め方も見られた。

 日本のマスメディア各社は、11月下旬から12月にかけての時期と言われていた雅子妃殿下の出産に向けて予定稿を作成し、号外紙面を想定、テレビ局各局は両殿下の友人らの生出演をあらかじめ確保するなど、出産報道の準備を進めていた。宮内庁記者会は11月20日ごろから臨戦体勢となっていた。


NSK研修計画で欧州5記者が日本で4週間取材

 新聞協会の第23回欧州記者フェローシップ計画に基づき、欧州の記者5人が11月10日から4週間の日程で来日した。一行は、日本の政治・経済・産業などについて取材・見学後、19日に首相官邸を訪れ、安部晋三副官房長官と懇談した(写真)。プログラム後半には広島市、京都市を訪れ、最後の約10日間は精力的に個人取材をこなした。12月7日離日した。同計画は、ヨーロッパの記者研修機関であるジャーナリスツ・イン・ヨーロッパ(JE)の協力により毎秋実施している。来日した記者は以下の5人。
 Bulgaria(24Hours)=Ms Petya DIKOVA、Finland(Finnish News Agency)=Mr Tuomas SAVONEN、Netherlands(Het Financieele Dagblad)=Mr Han Dirk Victor HEKKING、Norway(Norwegian Broadcasting Corporation)=Mr Philip LOTE、Yugoslavia(TV Studio B)=Ms Zvezdana CRNOGORAC


日米記者交換計画来年2月実施

 米中枢同時テロの影響で延期が決まっていた今年度の日米記者交換計画は、明年2月中旬に日米双方の記者団が相手国を訪問することになった。同交換計画の米国側の受け入れ先はワシントンのICFJ(International Center for Journalists)。現在、プログラムの詳細を検討中だが、ニュース性の高いテーマを設定し、原稿執筆を前提とした視察先を選定する予定。


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愛媛新聞社、中国・大連晩報と記事交換

 
愛媛新聞社は11月8日、中国・大連市で朝刊紙を発行する「大連晩報社」と友好提携協定を結んだ。今後、定期的に記事交換を行う。提携は愛媛と大連地域住民の相互理解を図り、日中の経済文化交流を促進するのが狙い。両社は、11月から毎月末を締め切りとして40〜50行・写真付きの記事1本を交換し、双方が専用コーナーに掲載する。記事テーマは出稿側が選定する。今後はスポーツや子どもの交流事業なども模索していく。

 愛媛新聞社は、愛媛県松山市に本社を置く発行部数約32万部の朝刊紙。建てページは28?。大連晩報は、大連市で最大の発行部数約三十万部の朝刊紙。タブロイド判32?。 

民放50周年記念大会開催
 
 
民間放送50周年全国記念大会が11月15、16の両日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれ、民放の経営幹部ら1,100人が参加した。民放大会は毎年11月に開催されるが、50周年の節目となった今大会では、ヘンリー・キッシンジャー・元米国務長官の記念講演のほか、一般視聴者の参加を募ったシンポジウム、放送技術展「デジタル宝島」を開催した。氏家斉一郎・民間放送連盟会長(日本テレビ会長)は「地上デジタル放送は民放の将来を決定付ける最重要課題の一つ。開始にあたり巨額の設備投資が必要だ。従来のマスメディア集中排除原則を見直すほか、デジタルデバイド防止の観点からも、国や地方公共団体は支援策を検討してほしい」と要望した。

電通が上場

 広告会社最大手の電通が11月30日、東京証券取引所第一部に上場した。公募・売り出し価格は一株42万円で、これに基づき試算した時価総額は約5,841億円で、7月の日本マクドナルド以来の大型株。海外分も含め相当な需要超過の状態のもようだ。同社は上場に伴って2万5千株を公募増資し105億円を調達、新規メディアや海外サービス体制の整備に充てる。既に電通の株を所有している共同通信社、時事通信社など既存株主も計11万株売り出す。

外国メディアとの定例会見スタート

自民党は10月31日、外国メディアを対象とした定例記者会見を始めた。隔週の水曜日に開き、同党の幹事長と政調会長が交代で出席する。在日外国報道協会を通じて呼びかけ、加盟社以外も参加できる。質疑応答は日本語で行う。

政権政党である自民党のコメントに対する外国人記者の関心が高まっていたことに加え、国際化時代を迎え、党内からも外国プレスへの積極的な対応を求める意見が出されていた。初回の記者会見には、中国のメディアを中心に約20社20人が集まり、狂牛病や失業率、不良債権への取り組みなどについて質問が出された。


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