2002年日本の新聞界展望
「取材報道の自由への不当な制約には断固闘う」
波乱の幕開けとなった新世紀。米同時多発テロは世界中に最大級の衝撃を与え、一方で深刻な経済不況の危機を招来した。日本にあっても外交・安全保障の新たな局面に入り、経済環境も猶予ならない事態にたちいたっている。この時代環境にあって、新聞の役割はますます重大である。
日本においては近年、メディアの集団的過熱取材や、報道によるプライバシー等の人権侵害に対する批判が高まり、個人情報保護法案、人権救済機関の設置に関する提言、青少年有害社会環境対策基本法案など、取材・報道を規制する動きが顕著になっている。
これに対し新聞各社では、新たに記者憲章を制定したり、報道の検証や苦情処理のため第三者機関を設置するなど、主体的取り組みが広がっている。新聞協会でも、2001年末には、編集委員会が集団的過熱取材の問題を、自主的に解決するという認識のもとに、見解と対応策をまとめている。記者クラブのあり方についても、編集委員会は小委員会を設けて、従来の見解を全面的に見直しているところである。
取材・報道の自由を不当に制約する動きには、断固として反対するという新聞界の基本的な立場を、ここであらためて確認しておきたい。
新聞の意義と新聞界の努力を、広く国民・読者に理解してもらう新聞総合PR計画「Read Me.」キャンペーンは、今年三年目を迎える。新聞協会の販売、広告両委員会とも、積極的に参画・連動する構えで、この計画への新聞界の総力をあげた取り組みが、喫緊の課題である。
小泉首相が掲げる「改革の時代」の波は、新聞社自体にも押し寄せてきている。新聞事業、新聞経営のあり方から、記者をはじめとする人材の確保と育成、読者の信頼と支持を得られる紙面づくり、激変するメディア環境への対応など、新聞界全体で取り組むべきテーマも山積している。
21世紀にあっても、新聞協会加盟社が新しい新聞倫理綱領、新聞販売綱領のもとに、国民・読者の要望にこたえ、新聞が報道メディアの中核であり続けられるよう、いっそうの努力をしていきたい。
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