新聞協会が記者クラブ「新見解」発表
日本新聞協会編集委員会は1月17日、全国の記者クラブの基本的指針となる見解を、1997年見解から4年ぶりに改定し、新見解をまとめた。同見解は1月23日開催の日本新聞協会理事会の了承を得た。記者クラブは、新聞・放送各社の記者によって構成される組織で、官邸、日銀はじめ全国の公共機関(中央行政官庁、都道府県や市、警察本部)などの建物内に置かれた記者室を取材拠点としている。
記者クラブの発端は1890年(明治23年)帝国議会が開会した際に傍聴取材を要求する記者たちが結成した「議会出入り記者団」。第2次大戦後、占領軍の意向で「記者の親睦団体」と位置づけられたが、以後記者クラブの性格や意義をめぐるさまざまな議論があり、編集委員会は時に応じてクラブの性格、運営方針について「見解」を発表してきた。
この間、新聞・放送以外の報道機関の記者やフリーランスのジャーナリスト、外国人記者などからは、記者クラブは閉鎖的であり、取材の自由を妨げているなどとする、いわゆる記者クラブ批判もあった。
このたび、報道界に対する国民の信頼を維持し記者クラブの目的や役割について広く理解を得るため、1997年見解を総合的に見直し、記者クラブを「公的機関を継続的に取材するための自主的な組織」と位置付けた。また、一定の条件を備えた、協会加盟社の記者以外のジャーナリストにも門戸を開いた。新見解の要旨は以下のとおり。
▼公権力に情報公開を迫る組織として誕生した記者クラブの役割は、(1)公的情報の迅速・的確な報道(2)公権力の監視と情報公開の促進?誘拐報道時など人命・人権にかかわる取材・報道上の調整(3)市民からの情報提供窓口――などである。
▼記者クラブは、「日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者など」で構成するものとし、報道活動に長く携わり一定の実績を有するジャーナリストにも門戸は開かれる。加盟要件として、(1)報道という公共的な目的を共有?クラブの運営に一定の責任を負う(2)報道倫理の厳守、を挙げ、なかでも新聞倫理綱領で定める報道倫理の厳守を強く求める。
▼公的機関の記者クラブにかかわる記者会見は、公的機関側の恣意(しい)的運用を防ぐため、記者クラブが主催することが重要だが、公的機関主催の記者会見を一律には否定しない。そのうえで、クラブ構成員以外も参加できるよう、より開かれた記者会見を目指す。
▼記者室は、報道機関と公的機関それぞれの責務である「国民の知る権利に応える」ために必要な、公的機関内に設けられたジャーナリストのワーキングルームである。記者室の維持費、経費については、報道側も応分の負担をすることを基本とする。
◎ 編集委員会=新聞協会加盟の新聞・通信・放送58社の編集・報道局長で構成。