新聞協会はこのほど、2007年「新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査」結果をまとめた。前回(06年)より1社多い86社が、168のウェブサイトを開設している。電子部門の分社化を含め機構改革・組織再編も相次いだ。今回から調査項目に新設されたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)については、3社が提供するなど、利用者の相互交流を後押しする取り組みが目立ち始めている。
調査は1997年以降、毎年1月1日現在で新聞協会加盟新聞・通信各社の電子・電波メディアへの参入状況などを尋ねている。86社が回答した。
結果概要によると、各社で電子部門の分社化を含め機構改革・組織再編が相次いだ。日本経済新聞、産経新聞、日刊工業新聞、京都新聞が、分社化ないし分社化に伴う機構改革を実施。中国新聞は本社と関連会社との役割分担を見直した。
このほか、朝日、読売、報知、時事、秋田魁、山梨日日、名タイ、岐阜、新潟、福井、山陽、山陰中央、西日本、長崎、熊本日日など多くの新聞社が組織改編を行った。
調査期間中に新たに開設されたサイトは9サイト。会員制サービスの提供は、30社51サイトから、38社64サイトに増加した。読売、福島民報などが、読者・閲覧者サービスの一環としての会員制サイトを新たに開設した。
動画コンテンツは、前回調査から8社増の42社が提供する。提供情報は、ニュースや地元の祭事が中心。記者の独自取材や、記者が登場してのニュース報道などを紹介するサイトも増加傾向にある。
音声のポッドキャスティングを行っているのは4社増え10社。前回調査では実施されていなかったビデオポッドキャスティングの提供も、読売、日経、産経、北海道、大分合同の5社が開始している。
サイト更新情報を随時配信するRSSを公開しているのは26社。前回の11社から倍以上増加した。配信ジャンルは、一般、社会、スポーツ、地域ニュースなどに加え、社説、特集・連載、コラム、動画ニュースなど、新聞社の発信する幅広い分野の情報に広がっている。
ブログを開設している社も前回の13社から倍以上増え29社となった。執筆者は、記者のほか、評論家、スポーツ選手、タレントから一般人までと多岐にわたる。地元のプロスポーツチームを取り上げたブログなど、地域に根ざしたテーマのブログも増加した。
新聞社が利用者の相互交流を後押しする取り組みも目立つ。ブログでは、産経、静岡、山陰中央が、一般の会員登録者がサイト内にブログを開設できるサービスを始めた。SNSも、新たに日経、日刊工業、佐賀が開始している。
検索・ポータルサイトなど外部事業者に情報提供しているのは、前回と変わらず46社。内容は一般、芸能・スポーツなどが中心となっている。紙面イメージの提供は1社増えて10社、携帯・固定端末向けの情報提供は3社増えて66社、同動画情報提供は1社増えて14社になった。