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2007年11月
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第60回新聞大会開催――決議採択「あふれる情報の海の確かな指標でありたい」

* 文字・活字文化推進機構が設立総会開く
* 高知販売所組織に初の大賞――新聞協会地域貢献大賞
* 環境対策計画を提出
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今月の話題>>>
歓迎の心 指先から伝える――秋田魁新報社 身障者スポーツで点字号外
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60回新聞大会開催――決議採択「あふれる情報の海の確かな指標でありたい」

第60回新聞大会は10月16、17の両日、長野市で開かれ、新聞協会加盟社幹部ら555人が参加した。初日午前の大会式典では、大会決議を採択。渡辺恒雄、中江利忠両氏に新聞文化賞が授与(前月号参照)されたほか、2007年度の新聞協会賞が受賞者に授与された。

大会決議
 地球環境が悪化し続け、絶え間ない紛争が世界を覆っている。内外で格差が拡大し、人々は平和で希望のもてる社会へ、正確な報道と説得力ある言論を求めている。
 新聞は、ネット社会の現実を見据え、あふれる情報の海の確かな指標として、読者と強い絆で結ばれた存在でありたい。
 60回を迎えた新聞大会にあたり、われわれは、報道の使命を改めて深く心に刻み、その達成に全力をあげることを誓う。

大会式典であいさつする北村正任新聞協会会長(16日、長野県県民文化会館)=信濃毎日新聞社提供

文字・活字文化推進機構が設立総会開く

 国民の文字・活字離れを食い止め、言語力向上を目指す文字・活字文化推進機構の設立記念総会が、10月24日、東京で開かれた。総合的な言葉の力を向上させるための運動に取り組み、2010年を「国民読書年」とするよう働きかけるとのアピールを採択した。同機構は23日、財団法人の認可を受けた。

 機構は「子どもの読書活動推進法」「文字・活字文化振興法」を具現化し、文字・活字文化を普及・振興するため、新聞界と出版界、有識者らが協力して設立した。読書・新聞閲読の促進や、再販制度維持・消費税対策などを担う。

 新聞協会からは、北村正任会長が副理事長に就任したほか、副会長2人が理事に、会長社を除く全国紙と中日新聞の理事が評議員に就任した。

 総会では、主催者を代表して福原義春会長(資生堂名誉会長)があいさつ。「文字・活字文化が衰えることは社会にとっての損失だ。国民が活字に親しむ運動を行い、百年の大計で日本を活字に親しむ国に作り上げたい」と話した。
 記念講演では、落語家の春風亭小朝さん、東北大加齢医学研究所の川島隆太教授が登壇。美しい日本語や活字に対する思い、重要性を述べた。
 このうち川島教授は、人間の脳に関する研究を通じ「活字に触れることが脳の働きを活性化させる」ことが分かったと説明。地方紙数紙に音読教材を掲載している事例も紹介し、「活字が家庭にあることは、子供の健全育成にもつながる」と話した。

文字・活字文化推進機構の設立総会であいさつする福原義春会長(資生堂名誉会長)


高知販売所組織に初の大賞――新聞協会地域貢献大賞

 新聞協会は10月3日、第1回「日本新聞協会 地域貢献大賞」の受賞者を発表した。大賞は、高知新聞系統の販売所組織、高新会婦人部「なでしこ会」の「『生命の基金』チャリティーバザー」、特別賞は、中日新聞安城今池町専売所・桑山利子さんの「スリランカ学生の巣立ち助け14年」に授賞する。奨励賞は9件、褒賞は5件。11月21日に東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれる第7回新聞公正取引協議会会員総会の席上で贈賞する。

 地域貢献大賞は、販売所の貢献活動について社会的な認知度を高め、販売所の信頼向上、イメージアップを図る目的で今年(2007年)創設された。地域社会に密着した活動を奨励し、販売所の地域社会の一員としての自覚、法令順守に対する意識を高めることも狙う。初回となる今年は、全国の新聞販売所、系統会、新聞販売同業組合などから、84件の応募があった。

 大賞には、チャリティーバザーの売上金を、地域医療や難病対策に貢献するための基金へ寄贈している高新会婦人部「なでしこ会」の活動が選ばれた。
 同会は、販売所の女性所長39人と所長夫人ら94人で組織。バザーでは、会員や発行本社役員、読者などから提供された生活雑貨、野菜などを販売する。今年で20回を数え、1990年からは毎年1回開かれている。長年にわたって続けられ、読者を巻き込んだ活動の幅広さが高く評価された。

 特別賞には、新聞配達で得た収入をスリランカの若者支援のために寄付する桑山さんの活動が選ばれた。
 桑山さんは、経済的理由で就学が不可能なスリランカの若者を支援しようと、93年から14年間、奨学金を運用する財団に朝刊配達で得る月々の給料4万円を全額寄付している。

 このほかアフガニスタンの子供の里親支援、「あしなが育英会」への送金、津波で消失したスリランカの小学校再建のための寄付も行っており、「高い志を持った活動」と評価された。


高知新聞社提供 「生命の基金チャリティーバザー」

 


環境対策計画を提出-−新聞協会  

 新聞協会は10月26日、「環境対策に関する自主行動計画」を環境省に提出した。
 新聞・通信各社の本社・工場における二酸化炭素(CO2)排出量を、2010年度において05年度比で5%削減する。

 行動計画は、環境対策が喫緊の課題となっていることから、加盟新聞・通信各社が企業の社会的責任を果たすために定められた。取材・報道、事業などの幅広い企業活動を通じて環境保全に向けた諸施策を推進することで、読者や地域社会とともに広く社会に貢献するとしている。

 具体的な取り組みとしては、これまでも行ってきた環境関連記事・広告の掲載、関連イベントを主催するほか、本社・工場でISO14001の認証取得や不要照明等のこまめな消灯など、ハード・ソフト面で取り組みを推進する。新聞輸送車の省エネ化など車両面での取り組みや植林活動などにも取り組むとしている。

 


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長井記者死亡で抗議声明

ミャンマーの反政府デモ取材中に死亡した長井健司さん(右下)は、治安部隊に撃たれた後も撮影を続けようとした=9月27日、ヤンゴン(ロイター提供)

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンで反政府デモを取材していたフリーの映像ジャーナリスト、長井健司氏(50)が治安部隊の発砲を受け死亡したことをめぐり、日本のメディア関係者から同国政府に抗議する声明が相次いで出されている。

 フリーの写真・映像記者で構成する日本ビジュアル・ジャーナリスト協会は9月30日、「内外のジャーナリスト及び報道機関の権利を踏みにじる一切の行為を止めるべき」とする抗議声明を発表。10月3日には東京・駿河台の明治大学で緊急集会を開催した。
 同協会の会員で、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー氏にも4回にわたりインタビューしたフォトジャーナリストの山本宗補氏は「国外に情報を出させないという、軍事政権の強い意思だ」と、長井氏の殺害について述べた。

 在京・在阪民放10社の報道局長も10月2日、長井氏の射殺について「至近距離から故意になされたことは明らか」として、抗議する声明を発表した。
 殺害が「言論・報道の自由に対する看過できない侵犯行為であるばかりでなく、人道に対する罪でもある」と指摘。銃撃されたときに長井氏が撮影していたビデオカメラ、テープの即時返還を求めた。

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歓迎の心 指先から伝える――秋田魁新報社 身障者スポーツで点字号外

視覚障害者にも全国障害者スポーツ大会の開幕を伝えたい――。秋田魁新報社は10月13日、点字による号外を発行した。全国的にも珍しい試み。

 秋田県では15日まで3日間の日程で、全国から約3200人の障害者が競うスポーツ大会が開かれた。このうち視覚障害者は約280人が参加した。

 点字号外はB5判の点字用紙を使い、2ページで構成する。表面は、大会開幕を速報する記事を点字で打刻。秋田県視覚障害者福祉協会が協力した。裏面には、表面と同様の記事と写真をカラーで掲載した。

 今回の発行は、社会部の記者が開幕一週間前に発案した。秋田県で初めて開かれる大会の参加者に、地元の活字メディアとして協力できることを話し合った結果だという。

 配布も社会部の記者3人が、開会式会場である秋田市の県営陸上競技場と、視覚障害者によるグランドソフトボールの会場、秋田市立山王中学校で行った。
 船木保美社会部長は「秋田に来県した選手に、歓迎の気持ちを伝えたかった」と話した。

 

 点字号外を手にして喜ぶ選手。「これまで聞いたことがない。あると助かる」と回覧する選手もいた=13日、秋田市山王中学校グラウンド(秋田魁新報社提供)

 

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