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2008年1月
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2008年新聞協会長の年頭あいさつ「新聞の役割 理解広める」

* 2007年の日刊紙の発行部数は5203万部
* 改正放送法が成立
* 今年度の写真記者協会賞――各地で決まる
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核廃絶へ情報発信拠点――中国新聞社編集局に「平和メディアセンター」
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 2008年新聞協会長の年頭あいさつ「新聞の役割 理解広める」

 2008年の年頭に当たり、全国の報道関係者の皆さまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 政治、社会の状況は混沌(こんとん)としたまま新しい年を迎えました。国内では、参院の与野党逆転に伴う「ねじれ国会」が法案審議などに影響を与え、政治の混迷をもたらしています。社会の状況を見ても、原油価格高騰による諸物価への影響、経済格差の拡大が懸念されるほか、アメリカの「サブプライムローン問題」に端を発する金融不安、地球環境の悪化など多くの不安材料があります。世界各地では依然として、テロや武力紛争が続き、尊い人命が今この瞬間も失われています。

 そうしたなか、ことしはアメリカ大統領選挙、北海道洞爺湖サミット、北京五輪が行われます。衆院の解散総選挙の可能性も高まっており、様々な面で節目の年になると予想されます。7月に開催されるサミットでは、環境問題が大きなテーマとなり、日本のリーダーシップが問われる場面があるはずです。

 新聞界にとりましては、引き続き厳しい年になると想定しておりますが、どのような状況にあっても、公平公正な目で多様な情報を伝え、的確な論評で判断材料を提供する新聞の役割は変わりません。新聞の役割や重要性を明確に伝え、これまで以上に広く理解を得るよう努めていく所存です。

 昨年の新聞大会研究座談会では、人々が持つ信頼関係や社会的ネットワークを意味する「社会関係資本」とメディア利用の関連について、東京大学大学院情報学環が行った調査が紹介されました。新聞を購読している人は地域でのネットワークづくりやボランティア活動に積極的で、人との信頼関係を大切にする傾向が強く表れており、これまで新聞が地域で成し遂げてきた社会関係資本づくりの仕事は、こうした人々から一定の評価を受けていると指摘されています。社会関係資本の豊富な社会は、民主主義が機能する社会であります。新聞が社会関係資本の蓄積に大きな役割を果たしている、すなわち、健全な民主主義の形成に寄与しているという調査結果に、意を強くいたしました。

 新聞広告の活性化に向けては、広告主のメディア選択が厳しくなるなか、広告媒体としての新聞の有用性を、的確にアピールしていくことが重要だと考えます。消費行動が旺盛で、社会的に影響力のある人々に対し、新聞は極めて有効なメディアであります。広告委員会の調査によると、新聞は企業・商品・各種サービスに対する認知と関心を高め、消費行動のきっかけを与える役割を果たすなど、新聞とネットは競合ではなく補完関係にあることが浮き彫りになりました。新聞各社はネットとの親和性を生かした広告活動を積極的に展開し、デジタルメディアとのコラボレーション、クロスメディアの関係構築を推進しております。

 NIEは全国の実践校が500校を超え、着実な進展を見せていますが、ことしは新たな施策を実施するなど一層の推進に努めていく所存です。昨年公表された経済協力開発機構(OECD)や文部科学省による学力調査の結果は、子どもたちの読解力や応用力の低下を示しており、新聞を読むことの重要性が再認識されています。読解力だけでなく、子どもたちの育成にNIEが果たす役割は極めて大きいと考えています。

 新聞界と出版界が手を携えて設立した文字・活字文化推進機構は、文字・活字文化の振興と普及という観点から読書や新聞閲読を推進する活動を展開します。同機構はまた、各国で成果をあげている文字・活字文化に関する施策や法律を調査、研究し、再販制度維持などの活動に役立てる計画です。

 新聞協会は昨年10月、環境対策に関する自主行動計画をまとめました。地球温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)削減が喫緊の課題となるなか、協会加盟の新聞・通信各社は、報道や広告、事業など幅広い活動を通じて、人々の環境保全に対する意識を高めるとともに、自らもこれまでの取り組みをさらに進め、地球環境への負荷を低減していきます。

 新しい年を迎えて、実りある1年となりますよう願うとともに、皆さまのご健勝と各社のご発展をお祈り申し上げ、年頭のごあいさつといたします。

2007年の日刊紙の発行部数は5203万部

 新聞協会はこのほど、2007年10月現在の「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」調査結果をまとめた。総発行部数は前年比0.5%減の5202万8671部。一般紙は0.2%減で3年連続、スポーツ紙も3.6%減で7年連続のマイナスとなった。

 調査対象は協会加盟の121紙。内訳は朝刊夕刊を発行するセット紙45紙、朝刊単独紙61紙、夕刊単独15紙。

 セット部数は2.3%減で、17年連続の前年割れ。朝刊単独部数は06年同様0.4%増と増えたものの、夕刊単独部数は1.9%減少した。

 地区別では、沖縄が0.4%増、北海道が0.3%増、北陸が微増となった。その他の国内全地区では、0.0〜1.6%減少した。

 普及度を示す指標を見ると1世帯当たりの部数は1.01部。発行部数1部あたりの人口は2.44人だった。


改正放送法が成立

 放送法改正案が12月21日、参院本会議で可決、成立した。認定持ち株会社制度が導入されるほか、NHK経営委員会が強化される。

 持ち株会社は、複数の地上放送局や衛星放送局を100%子会社として保有できる。持ち株会社に対する一株主の出資比率の上限は「十分の一以上、三分の一未満」とされた。

 NHK関連では、経営委員会の監督機能を一部委員の常勤化を図るなどして強化した。放送した番組をブロードバンドを通じて公開できるようにもなった。

 参院では「表現の多様性が損なわれることがないようマスメディア集中排除原則について、総合的な検討を行うこと」などとした付帯決議を採択した。



今年度の写真記者協会賞――各地で決まる

 中部、東北、関西スポーツ紙写真記者協会は2007年度の各協会賞などを発表した。おもな受賞作は次のとおり。


中部写真記者協会賞(加盟33社、会員194人)


写真=朝日新聞社提供

 新聞・通信部門グランプリには、中田徹(なかだ・とおる)記者(朝日新聞名古屋)の「能登半島地震 被災地の父を訪ね一歩一歩」(写真=朝日新聞社提供)が選ばれた。

 中田記者は能登半島地震発生の翌3月26日、土砂崩れで孤立した石川県輪島市門前町深見(もんぜんまちふかみ)地区に漁船で急行した。子供と食料品を抱え、土砂の上を歩く家族を発見。海を挟んで約100メートルの距離から撮影した。この家族は孤立した集落に残る父親の安否を気遣い、岐阜県から駆けつけた。

 「危険な土砂の上を歩く一家を見つけて驚き、思わずシャッターを切った」と中田記者は振り返った。

関西スポーツ紙写真部長会

 
写真=デイリースポーツ社提供

 最優秀賞に選ばれたデイリースポーツ大阪本社の飯室逸平(いいむろ・いっぺい)記者の作品は、07年9月25日に横浜スタジアムで行われた阪神・横浜戦の一コマ。阪神の鳥谷敬(とりたに・たかし)選手が背中にボールが食い込むほどの死球を受けた瞬間を見事にとらえた。

 飯室記者は「普段通り撮影し、たまたまいいタイミングをとらえることができた。今後も集中力を切らさず取材したい」と話した。

東北写真記者協会(加盟65社、会員301人)


写真=デーリー東北提供

 新聞部門協会賞のデーリー東北の井深裕介(いぶか・ゆうすけ)記者は4月上旬の昼過ぎ、車で取材先に向かう途中、青森県むつ市の大湊駅前の商店街付近でカモシカを目撃。車を止めて後を追った。カモシカは路地に入り、ブロック塀で遊んでいた女の子の前に。若芽を食べようと立ち上がった姿が、電柱に隠れて女の子と「かくれんぼ」をしているように見えたという。

 井深記者は「警戒心のないカモシカだったので、近づいて撮れた。狙って撮れる写真ではない。珍しい場面に遭遇できた」と語った。

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毎日新聞社がセガと共同でゲームソフト「毎日新聞1000大ニュース」を発売

 毎日新聞社は11月29日、セガと共同でニンテンドーDS用ゲームソフト「毎日新聞1000大ニュース」を発売した。毎日新聞創刊135周年プロジェクトの一環。毎日新聞に掲載された約1000のニュースを素材に、各ジャンルの問題を収録した。

 1問正解するたびに2007年から135年を1年ごとにさかのぼったり、記事の誤りを探したりする問題も。1872年に創刊した毎日新聞の前身である東京日日新聞の紙面も閲覧できる。今年9月から始まった「ニュース時事能力検定試験」対策の問題も盛り込んだ。

 増田耕一(ますだ・こういち)新規事業開発室長は「ゲームを切り口にして若者に新聞への関心を持ってほしい」と語る。自らもゲームに挑戦し「記者であっても全問正解は難しいね」と笑った。希望小売価格は3990円。

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核廃絶へ情報発信拠点――中国新聞社編集局に「平和メディアセンター」

 中国新聞社は1月1日付で、核兵器廃絶と世界平和を目指し「ヒロシマ平和メディアセンター」を編集局内に設けた。専用のウェブサイトから日英二か国語で平和実現に向けたメッセージを発信し、朝刊でも月2回特集紙面を作る。

専用サイトは3日に開設。過去の連載記事に加え、核兵器をめぐる世界の状況や最新ニュース、識者の解説を載せる。動画やコンピューターグラフィックス(CG)も使い、広島を訪れた著名人のメッセージや被爆当時の広島の街並みなどを紹介する。

 また、各地の平和研究施設などとも連携し、国内外の有識者約100人から成る「ヒロシマ文化会議」(仮称)を設立、平和行政の在り方などを考えるシンポジウムなどを開く。

 同センターは専従5人、兼務7人で構成。田城明(たしろ・あきら)特別編集委員は「被爆体験の風化が進むなか、ヒロシマの悲劇を2度と繰り返さないよう、世論形成に役立てたい。被爆地の地元紙として問題意識の継承に努めたい」と語った。

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