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2008年3月
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新聞広告費5.2%減――電通「日本の広告費2007」

* 個人情報保護巡り意見書提出――新聞協会編集委員会
* 出版物販売額3.1%減――出版科学研究所
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文字拡大の動き広がる--24社が拡大を発表、うち10社が12段制へ移行
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新聞広告費5.2%減――電通「日本の広告費2007

 電通は2月20日、「2007年日本の広告費」を発表した。総広告費は前年比(以下同じ)1.1%増の7兆191億円と4年連続で増加した。一方、新聞広告費は5.2%減の9,462億円となった。インターネット広告費は24・4%増の6,003億円となり、雑誌を抜く規模となった。

 07年の総広告費は、日本経済の景気回復を背景に初めて7兆円を超えた。しかし伸び率は前年(1.7%増)よりやや低下。前半は前年のトリノ冬季五輪やサッカーワールドカップなど大型イベントの反動で減少した。しかし後半は参院選や世界陸上などがプラスとなり持ち直した。

 今回から媒体別広告費の推定範囲を見直した。雑誌の対象誌を拡大し、ネット広告費に広告制作費を加えた。このほか、セールスプロモーション広告費から改称したプロモーションメディア広告費に「フリーペーパー・フリーマガジン」の広告料を追加するなどした。05年までさかのぼり、改定値が発表された。改定値によると、06年の雑誌広告費は4,777億円。ネットは4,826億円となり、この年に既に雑誌を上回っていたことも分かった。

 マスコミ4媒体は3年連続で前年を下回った。総広告費に占める割合も見直しにより、ほぼ5割となった。マス4媒体の広告費の動向は次の通り。

 【新聞】  5.2%減の9,462億円。前年のワールドカップや携帯電話の番号ポータビリティー制度による出稿の反動に加え、主要業種である消費者金融や自動車の減少の影響が大きく出た。構成比も13・5%と、前年より0.9ポイント減少した。

 【テレビ】 番組広告費は前年の大型スポーツイベントの反動で、0.9%減。スポット広告費は1.3%減で2年連続の減少。全体で0.9%減の1兆9,981億円。

 【雑誌】 4.0%減の4,585億円。幅広い業種での減少に加え、休刊誌の点数が創刊誌を上回ったことも影響した。

 【ラジオ】 4.2%減の1,671億円。構成比の高い「金融・保険」(4.0%増)はマス4媒体で唯一前年を上回った。

 マスコミ4媒体以外をみると、インターネット広告費は、24.4%増の6003億円。媒体費が26・5%増。このうち検索連動広告費は37・8%増の1,282億円。利用者の行動履歴を基に趣味や嗜好に沿った広告を表示させる行動ターゲティング広告などが寄与した。モバイル広告費は59・2%増の621億円。今回から加わったネット広告制作費は、18.1%増の1,412億円だった。

 プロモーションメディア広告費(1.9%増)のうち、今回から入った「フリーペーパー・フリーマガジン」は相次ぐ創刊で高い伸びを示した。衛星メディア関連広告費(10・8%増)は、ケーブルテレビ(7.1%増)とBS放送(24・4%増)が好調で、CS放送は2.5%減だった。

日本の広告費(2005-2007)
広告費(億円)
前年比(%)
構成比(%)
2005
2006
2007
2006
2007
2005
2006
2007
総広告費 68,235 69,399 70,191 101.7 101.1 100.0 100.0 100.0
マスコミ4媒体広告費
新聞 10,377 9,986 9,462 96.2 94.8 15.2 14.4 13.5
雑誌 4,842 4,777 4,585 98.7 96.0 7.1 6.9 6.5
ラジオ 1,778 1,744 1,671 98.1 95.8 2.6 2.6 2.4
テレビ 20,411 20,161 19,981 98.8 99.1 29.9 29.0 28.5
小計 37,408 36,668 35,699 98.0 97.4 54.8 52.9 50.9
衛星メディア関連広告費 487 544 603 111.7 110.8 0.7 0.8 0.8
インターネット広告費
媒体費 2,808 3,630 4,591 129.3 126.5 4.2 5.2 6.5
広告制作費 969 1,196 1,412 123.4 118.1 1.4 1.7 2.0
小計 3,777 4,826 6,003 127.8 124.4 5.6 6.9 8.6
プロモーションメディア
広告費
屋外 3,806 3,946 4,041 103.7 102.4 5.6 5.7 5.8
交通 2,463 2,539 2,591 103.1 102.0 3.7 3.7 3.7
折込 6,649 6,662 6,549 100.2 98.3 9.7 9.6 9.3
DM 4,314 4,402 4,537 102.0 103.1 6.3 6.3 6.5
フリーペーパー・
フリーマガジン
2,835 3,357 3,684 118.4 109.7 4.1 4.8 5.2
POP 1,782 1,845 1,886 103.5 102.2 2.6 2.6 2.7
電話帳 1,192 1,154 1,014 96.8 87.9 1.7 1.7 1.4
展示・映像他 3,522 3,456 3,584 98.1 103.7 5.2 5.0 5.1
小計 26,563 27,361 27,886 103.0 101.9 38.9 39.4 39.7

個人情報保護巡り意見書提出――新聞協会編集委員会


 新聞協会編集委員会は2月15日、内閣府が意見募集していた「個人情報の保護に関する基本方針の一部改正案」に対し、過剰反応問題の是正に向けた具体的な措置を示すことなどを求める意見書を提出した。併せて、編集委加盟社を通じて実施した個人情報保護法の運用実態に関する調査結果も提出した。

 編集委員会の下部機構である編集小委員会の森純一(もり・じゅんいち)委員長(朝日新聞東京)ら6人が、内閣府の南嶋崇郎(みなみしま・たかお)・国民生活局個人情報保護推進室長に手渡した。

 意見書はまず「社会にとって必要な情報が隠される匿名化の流れは、健全な民主主義社会の根幹である表現の自由を阻害するだけでなく、社会・コミュニティーの基盤を揺るがすものとなっている」と指摘。「こうした事態を防ぐための実効ある措置を改めて求める」とし、今回の基本方針改正案をもって、法施行後3年の見直しが終わるならば「極めて不十分と言わざるを得ない」と批判した。

 過剰反応問題については、改正案に記述が追加された点は評価しつつ「問題にどのように対処するのか具体的な措置も示されていない」と述べた。

 その上で「報道機関への情報提供は法の適用除外であること、公益性の観点から個人情報の提供が可能である場合があることなどを具体的に説明、指導するとともに『公務員こそが法の名を借りた情報隠しを行っている』との見方をされないよう行政機関が自ら範を示し、一層の情報開示に努めるよう求める」とした。

出版物販売額3.1%減――出版科学研究所

 出版科学研究所がこのほどまとめた2007年出版動向によると、書籍と雑誌を合わせた出版物の推定販売金額は前年比(以下同じ)3.1%減の2兆853億円となり、3年連続で前年を下回った。書籍は3.2%減の9,026億円、雑誌は3.1%減の1兆1,827億円。雑誌は1998年から10年連続の落ち込みとなり、長期低落が続いている。

 雑誌の内訳をみると、月刊誌は4.1%減の9,130億円でこの10年で最大の落ち幅を示した。一方、週刊誌は0.8%増の2,698億円。週刊誌の微増は分冊百科が寄与したためで、既存週刊誌は約2%のマイナス。

 推定発行部数は、月刊誌が2.9%減、週刊誌が1.9%減。休廃刊点数も、前年より51点(30・5%)増加し、統計記録が残る1958年以来最多の218点に上った。「ダカーポ」「知恵蔵」「imidas」などが休刊した。

 総合週刊誌の推定発行部数は0.6%減。新聞社系5誌(「週刊朝日」「アエラ」「サンデー毎日」「読売ウイークリー」「スパ」)は1.5%減で、出版社系8誌の0.3%減を大幅に上回った。

 佐々木利春(ささき・としはる)主任研究員は総合週刊誌の低迷について「読者の高齢化が進み、新規読者の獲得が困難」と指摘。「週刊誌の売れ筋は、受験や学歴社会などをテーマにしたもの。その号が売れたとしても、購買習慣が続かない」と厳しい状況を説明した。また「現在は、読者が関心のある特集が掲載されている時に雑誌を購入する『ワンテーマ』の時代。『総合』ではなく、ジャンルを特化したものの方が受け入れられる」とも述べた。

 書籍の推定販売部数は前年比横ばいの7億5,542万冊。推定販売金額の3.2%減に対し部数が横ばいなのは、平均価格が下落したため。ミリオンセラーは「女性の品格」など06年同様、4点となった。




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ゴミ出し少年 道徳教材に--HAPPY NEWS教室に広がる


 新聞協会が毎年4月6日(新聞をヨム日)に合わせて発表している新聞総合PRキャンペーンHAPPY NEWS。HAPPY NEWS 2007の締め切りが迫る中うれしいニュースが飛び込んできた。

 HAPPY NEWS2005で「HAPPY NEWS PERSON」に選ばれた奥下雅士(おくした・まさし)くんが、08年4月から「道徳」教科書副読本に登場することが分かったのだ。

 足が不自由な近所の年配女性を気遣い、代わりにごみ出しを続けた中学3年生(当時は中学1年生)、石川県志賀町(いしかわけん・しかまち)在住の奥下君の行いを紹介した2005年12月2日付北陸中日新聞の記事(写真)が、日本標準(東京都杉並区)発行の小学6年生向け道徳副読本「みんなで考える道徳」に掲載される。この記事自体もHAPPY NEWS 2005の大賞に輝いている。

 日本標準によると、東京都内の小学校教諭が掲載を推薦したという。この教諭はHAPPY NEWSの入選作などを収録した書籍「心がぽかぽかするニュース」(文芸春秋)を新聞で知り、表紙の奥下君と年配女性の写真に引かれて購入。教室に置き、児童にも読み聞かせていたという。

 副読本では、奥下君の行いが新聞に紹介されたのを機に、金沢市内で同様のボランティア活動が広がったエピソードも紹介。日本標準は「奥下君の自発的な行動は、地域とのかかわりから自然に生まれた。できることをできる範囲でやるという社会参加を考えさせる上で絶好の教材だ」としている。

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文字拡大の動き広がる--24社が拡大を発表、うち10社が12段制へ移行

 

 朝日、読売の両新聞社は3月31日付の朝刊から、本文文字を拡大し、1ページ12段制に移行すると発表した。高齢化社会が進展する中で、より読みやすい紙面を目指す。現行の15段制で文字拡大した場合、改行が増えて読みづらくなることから、拡大に併せて12段制への段数変更にも踏み切る。

 読売の発表以降、3月2日までに、全国の24新聞社が文字拡大を発表。うち10社が段数変更に踏み切った。

 日本の新聞の多くはこれまで、1ページ15段制をとってきた。第二次世界大戦中は、用紙難を背景に17、18段制をとる社もあったが、戦後、段数を減らして文字拡大する機運が高まり、1950年ごろから15段制を導入する社が出始めた。新聞協会工務委員会は同年、1951年元日付紙面から1行15字・15段制へ移行することを決め、各紙が15段制に移行した。

 その後各紙は、15段制を維持しながら数度にわたり文字拡大を実施、2001年までにほとんどの社が1段当たりの字数つまり1行11字に移行した。一方で当時から、「1行の文字数が減るとかえって読みにくくなる」との判断もあり、読売などは1行12字・14段制に、伊勢は1行13字・12段制に移行していた。

 今回の文字拡大の流れは、毎日が昨年12月、拡大文字を導入したことから始まった。毎日は1行10字・15段制を導入、題字を小さくするなどのレイアウト変更を行った。これに対し、朝日・読売・日経の3社は、昨秋から文字拡大を研究。朝日は文字を面積で7%拡大して1行13字・12段制に、読売は面積で約23%拡大して1行12字・12段制に移行することを決めた。日経は当面15段制を維持する。

 一方で、12段制への移行には、広告のサイズ変更が避けられないという問題もある。現行の5段、10段広告は、それぞれ12段制での4段、8段広告で対応できるが、現行の3段、7段広告には対応できない。また、雑報広告などのサイズ変更も必要となる。

 朝日・読売の両社は、広告は当面15段制を維持するとしている。広告主や広告会社、業界に与える影響を考慮した。しかし、将来的には広告も12段制への移行を目指すとしている。12段を採用する社が増え、混乱なく移行できると判断した段階で移行したいとする。両社が、昨年12月末から今年1月にかけ、新聞協会に加盟する主要な新聞・通信各社に12段制への移行を検討するよう文書等で要請していたのも、こうした背景がある。文字拡大の流れは全国の新聞社に広がりつつあるといえる。

 一方で、12段制移行への対応は分かれる。朝日と読売以外で、3月2日までに12段制へ移行した上で文字拡大することを明らかにしたのは、産経、山形、福島民友、神奈川、信濃毎日、山口、四国、長崎の8紙。このうち産経、福島民友、神奈川、山口、四国、長崎は読売と同じ12字・12段制を採用。山形、信濃毎日は朝日と同じ13字・12段制となる。

 一方、北海道、東奥、岩手日報、福島民報、下野、岐阜、新潟、福井、京都、神戸、山陽、中国、西日本、熊本日日の14新聞社は、15段を維持した上で文字拡大する。北海道、東奥、岩手日報、福島民報、下野、岐阜、京都、山陽、中国、熊本日日の10紙は、毎日と同じ1行10字・15段制(熊本日日は一面のみ1行11字)、新潟、福井、神戸、西日本の4紙は、現行通り1行11字15段制となる。

 今後、12段制への移行がどこまで進むのかに注目が集まっている。



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