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2008年4月
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消防広報改善を総務大臣に要望 新聞協会編集委員会

* 三浦元社長か容疑者か 呼称各社の判断割れる
* フジテレビ、認定持ち株会社へ
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マガジン、サンデーが共同企画  背後には深刻な売り上げ低迷
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消防広報改善を総務大臣に要望 新聞協会編集委員会

 新聞協会の編集委員会は3月14日、個人情報保護法施行以来、消防の取材対応が後退していることから、取材に十分対応するよう求める要望書を増田寛也(ますだ・ひろや)総務大臣あてに提出した。必要な情報を隠さず広報することで、知る権利に応える報道に寄与するよう「格段の措置」を求めた。
 

 要望書は、報道責任者会を対象にした調査の結果などから、全国各地の消防広報に「個人情報保護法の拡大解釈、誤解に基づく報道規制的な考えが広がっている」と述べた。その上で「公的機関は情報を全面開示して判断をゆだねるのが基本。最近の消防広報の傾向は憂慮すべき事態と言わざるをえない」と指摘。「火事や災害、事故などの情報を正確かつ迅速に伝えることは、国民が安心して社会生活を営む上で不可欠」と主張した。

 増田大臣宛の要望書を受け取った消防庁の寺村映(てらむら・あきら)審議官は「消防の情報を制限する考えはない。各地の消防担当者の会議などで、本日うかがった報道側の考えを説明していく」と答えた。

 消防広報を巡って新聞協会と民放連は2002年12月、01年9月に起きた東京都新宿区歌舞伎町のビル火災を発端とし、全国消防長会が災害時の被災者氏名の公表基準、ガイドラインの検討方針を示した際に「公的機関が『表現の自由』『国民の知る権利』を縛る公表の基準を作ろうとすること自体、誤りである」との意見を連名で表明している。

三浦元社長か容疑者か 呼称各社の判断割れる 

 米ロサンゼルス市警は2月23日、1981年11月にロサンゼルスで起きた銃撃事件で妻を殺害したとして、元雑貨輸入販売会社社長の三浦和義(みうら・かずよし)容疑者(60)を22日午後、米自治領サイパン島の空港で逮捕したと発表した。この事件で三浦元社長は20033年、日本国内での無罪が確定している。発生から約27年ぶりに異例の展開を見せた事件で、三浦元社長の呼称をめぐり報道各社の判断が分かれている。

 ロス疑惑報道と呼ばれた27年前の報道では、逮捕された人は呼び捨てにされていた。その後の人権意識の高まりにこたえる形で、逮捕された人は、容疑をかけられているだけでまだ犯罪者と決まったわけではない、という意味で「容疑者」という呼称が付けられるようになった。

 三浦元社長の逮捕を各紙が報じたのは2月24日付朝刊。朝日、読売は、記事の初出のみ「三浦容疑者」とし、二回目以降と見出しでは「三浦元社長」という肩書きで報じた。

 朝日は海外での事件・事故については、国情も考慮しつつ、国内に準じるのを基本とする。通常は今回も容疑者呼称となる。しかし、長典俊(ちょう・のりとし)社会エディター代理は「日本で無罪が確定しており、単なる事件とは異なる。通常にも増して犯人視しない報道を心がけた」と話す。海外での逮捕で取材が困難であり、証拠が明確になっていないことも考慮。容疑者呼称を使用した記事では、何らかの形で国内での無罪確定に触れることも徹底する。

 読売も最高裁で無罪が確定している点を判断理由に挙げた。大久保弘道(おおくぼ・ひろみち)東京本社社会部次長は「一事不再理の原則を踏まえると日本の司法制度の下では、今後も『容疑者』とはならない。容疑者呼称を連発すると、司法手続きが国内で再開されたなどと読者に誤解を与える恐れもあった」としている。

 NHKも「容疑者呼称は多用しない」との原則に沿い、容疑者呼称は一回とし、肩書き呼称を使用する。

 毎日は24日付朝刊の最終版では見出しと記事の初出を「元被告」、二回目以降を「容疑者」とした。国内事件同様、無罪が確定した人物であることを示すため初出を「元被告」とし、見出しは初出にそろえた。翌25日付紙面は、続報のため、見出し、記事中ともに容疑者呼称とした。26日付朝刊からは、初出のみ「容疑者」、二回目以降と見出しは「元社長」に統一した。変更理由には、日本で裁判を担当した弁護士が25日に記者会見し、逮捕状が20年前のものであることが明らかになった点を指摘。「その後、最高裁で無罪が確定し、ロス市警の会見でも今回の逮捕につながる新事実が明らかにされなかったことなどを鑑みた」(斉藤善也(さいとう・よしなり)東京本社社会部長)とする。

 共同は、通常の事件報道と同様に初報から、見出し、記事ともに容疑者呼称を使用。26日夕刊段階から、「日本では無罪が確定していることを考慮」して、初出を「容疑者」、二回目以降を「元社長」とし、「おことわり」も配信した。牧野和宏(まきの・かずひろ)社会部長は「米当局の逮捕状に基づき逮捕されているため容疑者呼称を維持する。一方で、日本では無罪が確定していることも考慮した」と理由を話している。

 産経は見出し、記事ともに容疑者呼称を継続する。「米国では逮捕状が出て身柄が拘束され、現に容疑をかけられている」(広報部)と説明した。

 今後の司法手続きの状況次第では、各社の呼称が再度変わることもあり得る。朝日の長(ちょう)社会エディター代理は「新証拠をロス市警が明らかにし、容疑が明確なものになれば判断も変わる。今後は、容疑の濃淡で呼称を検討することになるだろう」と話している。

フジテレビ、認定持ち株会社へ

 フジテレビは3月13日、2008年10月に認定放送持ち株会社に移行すると発表した。傘下に系列局を持ち、グループ経営の強化などを図るのが狙い。民放キー局で持ち株会社への移行を表明したのは初めて。

 キー局としてはTBSが追随の方向で検討しているほか、テレビ朝日も君和田正夫(きみわだ・まさお)社長が「あくまで選択肢のひとつ」と述べ検討していることを示唆した。

 フジテレビは6月下旬に開く株主総会で会社分割について承認を得て、10月1日に新体制に移行する。現在のフジテレビを持ち株会社「フジ・メディア・ホールディングス(仮称)」とし、地上波放送事業を事業会社とする方針。

 フジテレビは、デジタル化に伴う技術革新や法制度の改正などでメディア環境が変化していると指摘。これらの環境変化に対応するためにも「放送事業を核としつつ、放送以外の周辺事業へもグループが持つ経営資源の更なる選択と集中を進め、外部との資本提携などを積極的に行う必要がある」との考えを示した。

 持ち株会社はグループ全体の戦略機能を担い、グループ資源の最適配分を意識したグループ経営を実行するという。フジテレビは「日本を代表する『メディア・コングロマリット』を実現するため持ち株会社制への移行が最適と判断した」としている。

 持ち株会社制度は、07年12月に成立した改正放送法(08年4月施行)で導入が認められた。デジタル化投資などで財政難となった地方局の資金調達を容易にするため認められた。傘下に収めることができる放送局数は12局。ただし、キー局は放送対象地域が一都六県にまたがるため7局とカウントされ、事実上は5局のみとなる。外国企業の出資を20%未満に規制している外資規制は持ち株会社にも適用される。



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日経ヴェリタス創刊  ウェブサイトと連動して情報提供

 日本経済新聞社は3月16日、投資金融情報週刊紙「日経ヴェリタス」(Nikkei Veritas)を創刊した。タブロイド判1部500円、毎週日曜日発売で、日経を扱う販売店のほか、書店、駅売店でも販売する。定期購読者に対しては、長期契約割引を導入し、購読者にはパスワードを発行して購読者専用サイトで、紙面イメージ閲覧サービスをはじめ様々な情報提供を行う。紙とネットの連動サービスが特長。

 読者層には個人投資家や金融・市場関係者を想定。発行部数は目標の10万部を超え、月決めで13万5000部というスタートを切った。

 この創刊に伴い、日経金融新聞と格付投資情報センター発行の日経公社債情報を1月末で休刊した。

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マガジン、サンデーが共同企画  背後には深刻な売り上げ低迷


 「週刊少年マガジン」を発行する講談社と「週刊少年サンデー」を発行する小学館は3月18日、新しいコミック雑誌「名探偵コナン&金田一少年の事件簿」を共同で4月に創刊すると発表した。

 ともに1959年3月17日創刊で、50年間競合してきた二誌が、初めて共同企画を行いコミック業界を盛り上げる。背景には深刻な漫画誌の売り上げ低迷がある。

 新雑誌は、4月10日から半年間、毎月2回、交代で出版する。両社は雑誌のほか、ゲームソフトやお菓子など10を超える分野で共同企画を実施する。来年3月まで、漫画のキャラクターをプリントしたTシャツをユニクロで販売する。

 1959年の創刊当時、先に創刊しようと両社が競争し、予定されていた創刊日が大幅に早まったという逸話が残っている。マガジンの森田浩章(もりた・ひろあき)編集長は、共同企画を実施するにあたり「同業とはいえ高いハードルがあった」と語る。サンデーの林正人(はやし・まさと)編集長は「いろんな企画を立ち上げた。協力して漫画を盛り上げたい」と話した。

 両社によると現在、少年マガジンの発行部数は187万部、少年サンデーは94万部。最盛期にはそれぞれ425万部(1998年)、228万部(1982年)が発行されていた。



「共同企画を発表するマガジンの森田(もりた)編集長(左端)と
サンデーの林(はやし)編集長(右端)」

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