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2008年7月
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* 第1回日中韓報道人セミナー ソウルで開催
* 秋葉原無差別殺傷事件で号外発行
* 東京スカイツリーに名称決定
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*Topics
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今月の話題>>>
「期待権」認めず NHKが逆転勝訴 最高裁 
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1回日中韓報道人セミナー ソウルで開催


 第1回日中韓3か国報道人セミナーが5月26日から3日間、韓国のソウルで開かれた。初開催となる今回のテーマは「3か国の新たな協力関係に向けて――メディア間の理解を深めるために」。3か国の関係を発展させる上で、インターネットへの対応やメディアの役割のほか、自由貿易協定(FTA)問題の報道をめぐり、意見交換が行われた。

 日本からの参加者は中日新聞社の宇治敏彦(うじ・としひこ)相談役論説担当(新聞協会国際委員長)を団長に12社12人。中国は10社10人、開催国の韓国からは16社19人が参加した。日本、中国、韓国の編集・論説幹部らが一堂に会した。

 26日の歓迎レセプションで韓国新聞放送編集人協会の辺龍植(ビョン・ヨンシク)会長(朝鮮日報編集主幹)は「3か国でヒト、モノの交流が増すなか、記者が一堂に集まる機会はなかった。意義深いスタートだ」とあいさつ。「メディアも民族・国家意識から抜け出すことが必要だ」とセミナーへの期待を語った。

 日本側議長の宇治(うじ)氏は27日のセミナーでメーンテーマにふれ「メディア事情について率直に意見を述べあい、互いをより良く理解したい」と述べた。

 基調報告に立った中国国際広播電台の金東光(ジン・ドングアン)朝鮮語部主任は「欧米メディアと競争する中で、3か国の協力は欠かせない」との認識を示した。具体的には(1)メディア間の情報共有システムの確立(2)共同の取材・制作など多国間事業の実施――など4点を提唱した。

 続く論議では、匿名性が高いために感情的な意見が表明され、ナショナリズムを煽ることもあるネットに、既存メディアがどう対応すべきかが論議された。3か国の関係進展に向けたメディアの役割では、政府・関係者に自由な取材と情報公開を求めることだと日本側の参加者が主張。一方、中国側は事実を尊重して報道することで、3国の関係を良好にすることだと述べた。

 3か国セミナーの開催は、2006年に東京で開かれた日韓編集セミナーで韓国が提案した。隔年開催が決まっており、次回は2010年に東京で開かれる。



秋葉原無差別殺傷事件で号外発行


 電気街にしてオタク文化の発信地として名高い東京・秋葉原で6月8日午後零時30分ごろ、通行人7人が死亡、10人が重軽傷を負うという無差別殺傷事件が発生した。死傷者数では、7年前の同じ日に起きた大阪教育大学付属池田小学校事件に次ぐ大惨事となった。

 新聞休刊日にもかかわらず、朝日、毎日、読売の在京三紙が号外を発行し速報した。このうち読売は街頭配布用と販売所経由の配布用を発行した。

 読売は4ページ全カラーを2回に分けて、全国で合計17万3350部発行した。1回目は午後5時ごろ。5人が死亡したと伝えた。最終面を英字記事にした。東京、大阪、西部(九州)の三本社管内で計3万6850部を発行した。東京、大阪、福岡などの主要ターミナルで配布した。

 この号外の制作中から、犠牲者数が増えることが予想されたため、2回目の号外発行を決定、午後7時ごろ、内容を7人死亡に差し替えて発行した。最終面では、競泳の北島康介(きたじま・こうすけ)選手が200メートル平泳ぎで世界新記録を樹立したことも報じた。東京本社で12万2500部発行し、一都三県の44販売所に届けた。大阪本社では1万4000部を大阪市の街頭で配布した。

 朝日は2ページ両面カラーを東京本社で発行。午後5時以降、1万3000部を都内JR主要駅で配った。

 毎日は2ページ片面カラーを東京本社で1万6000部、午後4時55分から東京のJR主要駅で配布、西部本社(九州)では1万部発行、福岡、北九州両市の主要駅などで配った。

東京スカイツリーに名称決定


 NHKと民放五社が利用する地上デジタル放送用の新タワーの名称が6月10日、「東京スカイツリー」に決まった(完成イメージ図=東武鉄道・東武タワースカイツリー提供)。東武鉄道と関連会社が東京都墨田区押上(おしあげ)に建設する。

 2007年10月から公募した名称案1万8606点を、2008年3月、有識者による検討委員会で6点に絞った。この6点を対象にインターネットなどで投票してもらった。その結果、11万419票のうち約3万2699票を獲得し最多だったのが東京スカイツリーだった。次点は「東京EDOタワー」。

 この名称には「空に向かって伸びる大きな木のようなタワーのもとに、人と環境に優しい街が生まれ、世界の人々が集い、新しい文化が創造される」との期待が込められている。08年7月に着工し、2011年12月に竣工、2012年春からの開業を予定している。高さは610メートル。

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全国紙・ブロック紙の3期決算 7減収5社減益

 2007年度(08年3月)決算を発表した新聞社のうち、朝日、毎日、読売、産経、北海道、中日、西日本の7新聞社の報告によると、毎日、産経を除く5社が、経常段階で減収減益となった。販売収入と広告収入の低迷が響いた。毎日と産経は減収増益。売上高は、7社すべてで減少した。全国紙のうち唯一、12月決算の日本経済新聞も減収減益だった。各社の決算は次の通り。

 【朝日】3期連続の減収減益。大都市での部数減傾向に歯止めがかからず、広告も3期連続で大幅に減少した。出版収入は新書などにより10年ぶりの増収。アサヒ・コムも2年ぶりに増収に転じたが、デジタルメディア収入はほぼ前年並みだった。一方、当期純利益は40ページ16個面カラー化工事が山を越すなど特別損益が改善し、前期比(以下同じ)45・4%増の56億6200万円となった。

 【毎日】不動産収入が増加したものの、販売、広告両収入が減少し、売上高は3期連続の減収となった。経常利益は、定年退職者増による人件費減などが貢献し2期連続の増益。一方、当期純利益は、海老名工場稼働に伴う厚木工場の生産設備除去などの特別損失があり、37・1%減の1億7700万円となった。

 【読売】グループ6法人の連結決算は、2期連続の減収減益となった。販売収入は微減だったものの、広告収入が減少。営業費用も0・2%増加した。当期純利益は、特別利益に債務保証損失引当金などの戻入益を計上しているが、163億9500万円と6・7%の減益となった。

 【産経】産経新聞は1万1000部増となったが、夕刊フジなど即売紙の売れ行き不振、広告収入の低迷が続き、4期連続の減収となった。経常利益は各種の経費削減努力により増益に転じたが、当期純利益は「SANKEI EXPRESS」のPR費など特別損失がふくらみ、38・5%減の4億3700万円となった。

 【北海道】販売、広告の両収入がそれぞれ前期を下回り、3期連続の減収。経常利益も2期連続の減益となった。当期純利益は、48・9%減の9億1100万円だった。

 【中日】昨年は、中日ドラゴンズが53年ぶりに日本一となったが、広告の低迷、部数の頭打ち傾向を打破できず、2期連続の減収となった。広告収入は3期連続の減少。当期純利益も6割減の19億5300万円と、4期連続の減益となった。

 【西日本】130周年記念事業などで事業収入が11・2%増と大幅に増えたものの、広告収入が5・7%減と大幅に前期を下回った。営業費用も0・6%減にとどまり、2期連続の減収減益となった。販売収入は0・1%の微減。当期純利益は、31・8%減の2億6500万円だった。

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「期待権」認めず NHKが逆転勝訴 最高裁 

 

 従軍慰安婦問題を扱ったNHKの番組をめぐり、取材に協力した市民団体が、NHKと制作会社2社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁判所第一小法廷(横尾和子(よこお・かずこ)裁判長)は6月12日、二審判決を破棄、市民団体の請求を退けた。原告逆転敗訴が確定した。取材側への期待と信頼(期待権)について「原則として法的保護に値しない」との初判断を示した。

 問題となった番組は、NHKが教育テレビで2001年1月に放送した「戦争をどう裁くか 問われる戦時性暴力」。市民団体「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(バウネット)が中心となって開いた民間法廷などを取りあげた。バウネットは「外部の圧力で、取材時の説明と違う内容に改変された」と主張。NHKは「編集の自由の観点から、取材対象者の期待通りの番組を作る義務はない」などと反論していた。

 判決は5人の裁判官全員一致の意見。「期待権」は原則として認められないと判断した。取材対象者に「格段の負担」が生じた場合に限り「必ず一定の内容と方法により番組で取りあげることを説明し、その説明により取材に応じる決定をした際は期待権が保護される」と述べた。ただし、説明通りに放送されなかったとしても「やむを得ないと言えるようなとき」は除かれた。

 今回は「バウネットに格段の負担は生じず、取材時に一定の内容や方法で放送すると説明していない」として、「期待権」の侵害に当たらないと判断した。

 横尾(よこお)裁判長は個別意見で「期待権は、取材担当者が認識できるものではない」と指摘。「期待権を侵害した場合に違法とされる可能性があると、取材活動の委縮を招き、報道の自由の制約につながる」と述べた。

 また、「期待権」の保護は「番組編集への介入を許す」と危惧し、「番組編集は、表現の自由の保障の下に、放送事業者の自律的判断に委ねられており内容が変更されることもあり得る」との見方も示した。

 二審判決で認定した「政治家らの発言を忖度し、番組を改編した」点について、判断はなかった。

 この問題をめぐり、東京地裁は04年、NHKなどへの請求は「番組編集の自由の範囲内」として棄却、取材を担当した制作会社のみに100万円の支払いを命じた。しかし07年2月、東京高裁はバウネットの「期待権を侵害した」として、NHKを含む三社に計200万円の支払を命じていた。

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