新聞大会会長あいさつ

第74回新聞大会 新聞協会長あいさつ

2021年11月17日 盛岡市
一般社団法人日本新聞協会 会長 丸山 昌宏

 第74回新聞大会をここ、盛岡市で開催することとなりました。盛岡での新聞大会は、1982年以来39年ぶり、2回目の開催となります。今年は東日本大震災から10年の節目の年です。昨年同様、コロナ禍での大会となりましたが、地元・岩手日報社の東根千万億社長から、震災の教訓に触れていただくとともに、社の枠を超えて、次の災害への備えを誓う機会にしたいとの強い意志が示され、開催することができました。東根社長をはじめ、皆様に多大なお力添えをいただき、心から御礼を申し上げます。

 震災から10年、被災地では傷ついた街を再生させようと懸命な努力が続けられてきました。岩手日報社をはじめ、被災地の地元新聞社は、住民一人ひとりの思いに寄り添い、復興への道を共に歩まれています。本日の研究座談会では各社の取り組みを数多く報告いただき、災害報道の役割や使命について議論を深めていきたいと思います。

 自由な取材・報道活動を最大限確保するため、編集委員会はさまざまな取り組みを展開しています。実名報道の意義を訴える活動もその一環です。被災者情報の報道発表については、報道機関の公共的役割を踏まえ、実名を含む詳細な情報を迅速に公表するよう国や自治体に働きかけています。

 GAFAをはじめとした巨大プラットフォームが影響力を増し、市場の寡占化と公正競争の阻害、ネットにおける言論空間の歪みといった問題が深刻化しています。デジタル空間においても質の高い情報の価値が正当に評価される仕組みが構築され、正確で信頼できる情報が流通する環境を持続することが重要です。新聞協会は、政府の議論も注視しながら機を捉えて、意見を表明していきます。

 ジャーナリズムの活動を支える経営基盤の強化も喫緊の課題です。コロナ禍は社会経済活動に引き続き大きな影響を与えており、新聞業界も厳しい経営環境に直面しています。2020年度の新聞社総売上高は推計1兆4827億円で、前年度比10.3%の大幅なマイナスとなりました。
 経営基盤の強化に向けた各社の取り組みは、このあとの研究座談会で共有し、議論したいと思います。

 新聞協会では、無購読者対策に引き続き注力します。子供の教育に熱心な親に新聞への興味を高めてもらい、試読・購読に結び付けていきます。数字で新聞の有用性を訴求する「新聞科学研究所」キャンペーンとともに、子育て世代に向けた活動を展開します。

 全国学力テストの結果では、今年も例年同様、新聞閲読頻度が高い児童・生徒ほど正答率が高くなっています。今年が最終年となる「第5次学校図書館図書整備等5か年計画」では、学校への新聞配備のために地方財政措置が講じられていますが、その使途は各自治体に委ねられており、本来の目的に沿って活用されていない実態があります。新聞協会は、学校図書館整備推進会議などと協力しながら、22年度以降の第6次5か年計画での配備費の増額と交付金の適切な使用を求めていきます。NIE活動を継続・拡大し、児童・生徒の学びの力を一層育んでいくためにも、新聞配備の拡充はぜひとも必要です。

 また、新聞各社は、紙の新聞広告を軸にデジタルメディアや映像、イベントなどを連携させたソリューションビジネスを本格化させています。新聞協会は、新聞社が持つリソースと、信頼性や到達率の高さといった新聞広告の特長を積極的にアピールしてまいります。

 ニュースパーク(日本新聞博物館)では、コロナ禍の中で厳格な感染対策を図りながら、小中学校・高校・大学からのニーズに応える教育連携事業を実施し、社会教育施設としてさまざまな世代に新聞の役割を訴求していきます。

 感染症のまん延、相次ぐ自然災害によって失われた日常を取り戻す道のりは平坦ではないかもしれません。人々が未来に希望を抱き、社会を包む大きな不安を乗り越え、互いを尊重しあう寛容な社会を築くために、我々が果たすべき役割や使命について、この大会を通じてあらためて考えたいと思います。

 本日は皆様方と活発に意見交換を行って、有意義な大会となることを願い、開会のあいさつといたします。

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