新聞について聞きました!著名人インタビュー

新聞は「大人への入り口」 2015年4月

内山奈月・AKB48

 高校の授業で憲法9条や25条など重要な条文を学んだとき、他の条文も一緒に暗記しました。それをコンサートで披露する機会があったときに、「『アイドルが憲法』とは面白い」と言われました。実は活字が好きで、幼少期から方丈記などの名文を暗唱していました。

 高校時代は、新聞を使った授業があり、社会への関心を持つようになりました。新聞部の先生が見出しのつけ方を教えてくれることもありました。大学生になると、自分で情報を得なければなりません。それで新聞を読むようになりました。

 地学や宇宙に関する記事が好きです。同じ読むのでも、スマートフォンより紙の新聞の方が「かっこいい」と思います。

 両親や祖母の影響も受けました。自宅では父が経済紙、母が一般紙を読みます。私はそれを外で持ち歩くこともあります。出先で買って、電車で読むこともあります。出先では自宅で購読しているものとは別の新聞を買います。同じニュースでも記事は異なるし、さまざまな角度から物事を見ることができると思うからです。

 ネットで読む好きな情報だけでは大人の話題についていけません。仕事で大人と対等に会話するためにも、新聞で話題を探します。

 新聞を読むと、興味が薄かったテーマも目に入り、面白さに気づきます。新聞は「大人への入り口」です。知性を蓄積していく、というイメージで読み続けたいです。

 AKB48に興味がなかった友人も、新聞で取り上げられると、「すごいね」と連絡をくれます。そのときは、新聞の読者の広がりはこんなにあるんだと再認識します。

 昨年7月、「憲法主義 条文には書かれていない本質」(PHP研究所)を出版させていただける機会に恵まれました。九州大学法学部の南野森(みなみの・しげる)教授との共著です。南野教授が私を生徒に見立て、憲法について講義をする対談形式の内容です。この本では、憲法が縛る対象は国民ではなく、国家権力であり、私たちは憲法で守られているということも書いています。

 マスコミが発信する情報は膨大で、憲法の基本的なこと、大事なことが見えにくいこともあると思います。それを発信し、親しみやすいものに変えていける存在になりたいと思います。

内山奈月(うちやま・なつき)
1995年神奈川県生まれ。2012年にAKB48に研究生として入り、13年の日本武道館でのコンサートで特技の日本国憲法暗唱を披露。その後、正規のメンバーに。14年4月、慶応大学経済学部に入学。