新聞が主権者教育を実現 NIE委員長 文科省推進会議聴取で説明
新聞協会NIE委員会は3月18日、文部科学省の主権者教育推進会議で新聞が主権者教育の促進に果たす役割について説明した。町田智子委員長(朝日東京)が「社会性豊かな青少年の育成や、活字文化と民主主義社会の発展を目指すNIEは主権者教育の目的にもかなう」と述べた。新聞協会に意見聴取の打診があり、NIE委員会が応じた。
町田氏は、これからの社会を生きる子供は自ら問いを見つけ、解決に向けて行動することが必要だと指摘。「新聞は子供の学びと社会や地域の課題をつなぐ存在で、社会への興味関心を喚起する力がある」と話した。
小学校から教科横断で主権者教育を進めることも重要だと説いた。「社会、道徳、国語などの領域を主権者教育の視点で再構成し、新聞を使ってつなげることで一貫した主権者教育が実現できる」と強調した。
家庭での取り組みも重要だと指摘。新聞協会主催の「いっしょに読もう!新聞コンクール」を紹介した。記事を読んで家族や友人と話し合い感想を書く形式は、周囲と社会課題について話し合う貴重な機会になっているとし「主権者教育を推進するには、学校や家庭に新聞のある環境作りが必要だ」と訴えた。
推進会議の小玉重夫委員(東大院教育学研究科長・教育学部長)から、東京都が都立学校向けに新聞6紙分の配備予算を計上していることに関し「教師は『6紙全てを取り上げなければ政治的中立を確保できない』と萎縮してしまう」との意見が出た。町田氏は「何紙読むかよりも、複数紙を読んでさまざまな考え方があると学ぶことが重要だ」と述べた。新聞を日常的に読み比べ、意見を出し合いながら合意に至る過程を学ぶことが大切だと話した。
推進会議は選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことに加え、改正民法で成人年齢も18歳となることから主権者教育推進策を検討している。
(2019年3月18日)