尊重し合う社会の支えに 宮崎の新聞大会で決議 協会賞、共同に追加授賞
新聞協会は10月16日、第72回新聞大会を宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで開いた。前日に開かれた新聞協会賞選考委員会で、共同通信社への追加授賞が決まったことが報告された。既に授賞が決まっていた6件と併せて7件7人に新聞協会賞が贈られた。「令和の時代を迎えても新聞は人々の考える糧となり、地域や世代を超えて互いに尊重し合える社会を支える」との決議を採択。研究座談会は、未来の読者を育てるための若者への訴求と新規事業をテーマに議論した。
宮崎日日の町川安久代表取締役社長はあいさつで、台風19号の被災地では泥やがれきをかき分けて新聞を届ける作業が続いているとし「『頑張れ、負けるな』のエールを送る」と語った。新聞については「民主主義や地域の発展、文化の向上に必要なのか、もはや必要でないのか。答えは明確だ」と指摘。「われわれはどのような努力をすべきか、それを議論するのが新聞大会だ」と述べた。続いて、新聞協会の山口寿一会長(読売)があいさつした。
新聞協会賞は編集部門で共同の長谷川智一、秋田魁の松川敦志、毎日大阪の幾島健太郎、日経の阿部哲也の4氏、技術部門は朝日の諏訪部智氏に贈られた。経営・業務部門は日経の村山亘、四国の粂井弘之の両氏に授与された。
関西電力役員らの金品受領を特報した共同の長谷川氏は、追加受賞が決まり急きょ駆け付けた。「一度の事故で地域住民の人生を狂わす原発に、誤りや不正は許されない。政府のエネルギー政策や自治体の対応、電力会社の運営を今後もチェックしたい」と話した。
歌人の伊藤一彦氏と俵万智氏が「言葉の力~新聞と文芸欄」と題して講演した。伊藤氏は、詩歌の投稿欄は石川啄木や若山牧水らの活躍の場となったとし「新聞がなければ、短歌も俳句も川柳も発展しなかった」と述べた。俵氏も、幅広い年代の感性が投影される投稿欄は「社会を映す鏡だ」と話した。
新聞協会会員社幹部ら450人が参加した。宮崎県内の3大学から招いた約90人も協会賞受賞スピーチや講演に耳を傾けた。
(2019年10月16日)