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《日韓編集セミナー》 反感あおる報道 抑制を 関係修復へ 役割議論

 新聞協会は10月29日、第51回日韓編集セミナーをプレスセンターホールで開いた。メーンテーマは「日韓関係の再構築とメディアの役割」。韓国最高裁が元徴用工に対する賠償を日本企業に命じて以来、両国の対立が深まる中、メディアが関係悪化に拍車をかけるべきではないとの声が上がった。読者が期待する論調に引きずられないよう留意すべきだとの意見も出た。

 セミナーは韓国新聞放送編集人協会との共催。韓国側は中央日報の金玄基国際外交安保エディターが基調報告に立った。韓国では日本の輸出規制を巡り、日本では韓国前法相の親族が関わった不正疑惑について、それぞれ正確さに欠けた報道があったと指摘。メディアが相手国への反感をあおるべきではないと訴えた。

 韓国の記者は自身の理念や判断基準を重視して報じるのに対し、日本の記者は見たまま伝えようとする傾向があると説いた。こうした違いを互いに認めることで「メディアの進むべき方向が明らかになる」と話した。

 日本側の基調報告は毎日の大貫智子論説委員が担った。ソウル特派員時代、朝鮮日報の女性記者との対談記事を同紙に連載した経験を披露。家の間取りや子離れの時期について情報交換した記事は好評で、国の違いを超えて「『自分ごと』として捉える人が多かった」と振り返った。少子高齢化、女性の生き方など、両国には同じ課題が多いという。

 ただし読者の共感を得ることを優先すると、報じるべき内容がおろそかになる恐れがあると指摘した。日韓の問題に関する報道は読者の関心が高く、受け手に期待される論調に流れかねないとし「バランスの取り方が課題だ」と述べた。

 討議では両国にとり有益な報道の在り方について意見を交わした。聯合ニュースの金慶晢論説委員は、独仏が共同で歴史教科書を作ったことを紹介。こうした民間交流の拡大にメディアも協力すべきだと提案した。

 西日本の神屋由紀子論説委員会委員は、報道が政治や外交に偏ると、対立している印象が強まると指摘した。互いの文化などを含め「多彩な面を切り取ることが大事だ」と話した。

 日本側は読売東京の森千春論説委員を代表とする26社26人が出席。韓国側の金種求・韓国新聞放送編集人協会会長(ハンギョレ編集人)を団長とする11社11人と討議した。

(2019年10月29日)

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