偽ニュース防止 規制は表現の自由侵す 新聞協会が意見書
新聞協会は1月20日、インターネット上の偽ニュース対策を巡り、検索エンジンやSNSを運営するプラットフォーム事業者に自主的な対策を促すべきだとする意見書を総務省に提出した。プラットフォーム事業者は偽ニュースの拡散を助長している責任を自覚し、解決に向けて主体的に取り組むことが必要だと指摘した。政府による規制については「表現の自由を侵害する恐れがある」として反対した。
総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」の報告書案に対する意見募集に応じた。報告書案は、不正確な情報の削除などの判断はプラットフォーム事業者に委ねるのが適当だとし、政府の介入については「極めて慎重であるべきだ」と結論付けた。事業者には削除などの対応指針や苦情処理体制を公開するよう求めた。
新聞協会はこうした点を評価しつつ、事業者の自主的な対策が不十分な場合に政府が関与する余地を残した点については「表現の自由の萎縮につながらないよう慎重な対応を求めたい」と訴えた。過剰な表現規制を防ぐには、まず偽ニュースの定義や分類を明確にすべきだとも述べた。
ネット上の情報の信頼性確保に関し、ファクトチェックの費用を政府が負担することは「独立性や中立性、表現の自由を守る観点から反対する」と表明した。
新聞・通信各社が情報の検証体制を整え、説明責任を果たす努力を続けているとし、こうした取り組みをネットメディアに広げる場合は、媒体の成り立ちの違いを踏まえて検討することが望ましいと指摘した。
プラットフォーム事業者に対しては、偽ニュース対策に限らず、著作物の無断利用への対応や、デジタル広告取引の透明性確保にも取り組むよう要望した。
意見書全文はこちら。
(2020年1月20日)