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現場協議で過熱取材防止 代表立てる手法を例示 編集委員会申し合わせ

 新聞協会編集委員会は6月11日、事件・事故の被害者や遺族らへの集団的過熱取材(メディアスクラム)が起こりそうな場合は、現場のメディア間で協議し「発生防止に万全の措置を講じる」との申し合わせを発表した。新聞・通信、放送の各代表社が取材を申し込むなど「誠意をもって関係者の負担軽減に努める」ことを確認した。2001年の見解を発展させた。

 申し合わせでは、代表社が質問を集約し、遺族らに記者会見や囲み取材への応対を打診する手法を例示。相手が難色を示した場合は、代表取材を申し込む次善の策も挙げた。

 昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件などでの現場の対応を念頭に、こうした工夫が「メディアスクラム回避に一定の効果を上げてきた」との認識を示した。代表を立てた例を「標準的な対応方法」として参照しつつ、事案ごとに知恵を絞るとうたった。

 現場のメディア同士で調整できない場合は、編集委下部の集団的過熱取材対策小委などで対応を協議する。現場での振る舞いや、取材用の車両や機材が交通を妨げることも批判を受けているとし「記者教育に力を入れ、関係者や周辺住民の心情や生活環境を害さないよう努める」と記した。

 併せて実名報道の意義も強調した。被害者の実名は事実の核心で、正確な報道には欠かせないとし、被害者や遺族の声を実名で伝えることは「事件・事故の原因を究明し、より良い社会を考える上で必要なことだ」と訴えた。

 一方、取材によって被害者らに負担を掛けることが実名報道の拒否につながっているとも指摘。被害者らの負担を軽減するため「節度と良識ある取材が行われるよう努力する」との決意を盛り込んだ。

 申し合わせ全文はこちら

(2020年6月11日)

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