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批判萎縮招かぬ制度設計が必要 匿名中傷対策に意見書 新聞協会

 新聞協会は7月22日、総務省が検討するインターネット上の匿名の誹謗(ひぼう)中傷対策について「正当な批判を萎縮させるような制度設計は避けなければならない」とする意見書を同省に提出した。SNSなどの運営事業者は投稿の削除を含む対応指針や苦情受け付け態勢などを日本語で示すことが望ましいと主張した。

 総務省の意見募集に応じた。同省のプラットフォームサービスに関する研究会(座長・宍戸常寿東大院教授)は2日、SNSなどに誹謗中傷とみられる投稿が多数書き込まれた場合は、運営元が対応することが必要だとの考え方をまとめた。投稿の削除を含む対応指針などを明らかにし、表現の自由の制約や不当な私的検閲とならないよう工夫すべきだと提起した。

 新聞協会は法規制ではなく事業者の対応を重んじる研究会の方針を評価した上で、検討の際は「匿名の言論空間の存在が社会に有用な批判や批評を生む」点にも留意すべきだと指摘。SNS事業者などには、対応方針の透明性確保と説明責任が求められるとの考えを示した。

 権利侵害が明らかな違法情報については、法務省の人権擁護機関の依頼に基づく削除が6割程度にとどまっているとし「救済手続きが十分に機能しているとは言えない」と指摘。事業者側が対応指針に基づき速やかに動くことが適当だとした。総務省の研究会が、事業者が適切に対応しなかった場合に行政が関与する可能性を示唆したことについては「表現の自由の萎縮につながらないよう慎重な対応を求めたい」と訴えた。

 意見書全文はこちら

(2020年7月22日)

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