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《東京でNIE全国大会》新聞は「正しさ」検証の鍵 コロナ禍にNIEが培う力探る

 第25回NIE全国大会東京大会が11月22日、開かれた。新型コロナウイルス対策のため、初のオンライン開催とした。日本NIE学会との共同シンポジウムと位置付けたパネル討議では、新型ウイルス禍の中でNIEが培うべき力について意見交換した。NIEを通して正確な情報を知り、その情報を基に考えた「正しさ」を話し合いを通じて検証することが重要だとの意見が出た。

 大会スローガンは「ともに生きる 新聞でつながる」。新聞協会の山口寿一会長(読売)は開会あいさつで、2022年4月の成人年齢引き下げに触れ「児童・生徒が社会の一員としての資質や能力を育むために、新聞は最適であると確信している」と述べた。

 パネル討議では作家の真山仁氏が、新聞を読み一つの話題について話し合うことで、社会性が育まれると指摘した。NIEを通じ「それぞれの正しさをぶつけ合うことで理解が生まれるということを学んでほしい」と語った。

 日本NIE学会の土屋武志副会長(愛知教育大教授)は休校期間中、学生に各自が決めたテーマで新聞記事を切り抜き、記事に対する意見をまとめる家庭学習を課した。学生は正確な情報を集めることはできても、自分の意見が他者の共感を得られるのかを不安視していたという。「他者とつながりながら、自分の考える正しさを疑うことが重要だと感じた」と述べた。

 東京都立青山高の本杉宏志主幹教諭・NIEアドバイザーは複数の銘柄を読んで情報リテラシーを身に付ける重要性を再確認したと述べた。コロナ禍でトイレ紙が不足するとのデマについてアンケートを取ると、この情報を信じ、拡散した生徒が多かったという。

 足立区立西新井小の水木智香子教諭は、NIEタイムで米大統領選や食品廃棄問題など幅広い分野の記事に興味を示す児童の様子を見て「NIEは学びに向かう力を育てる」とあらためて実感したと述べた。実践を通して自身も社会に対して興味を抱くようになったといい、「NIEは先生も育てる」と語った。

 文部科学省初等中等教育局の大滝一登視学官は、新聞活用によって情報活用能力や課題発見・解決能力といった「先行きの予測が困難な社会を生き抜くための力」の育成を期待すると語った。

 毎日の城島徹教育事業室編集委員は大正前期から教育に新聞が使われていたことを紹介した。子供の個性を重視した大正自由教育運動の中で、子供の関心を社会に向けるために新聞が活用されていたと説き、現代のNIEにも通じると述べた。討議の進行は新聞協会の関口修司NIEコーディネーターが務めた。

 討議に先立ち、真山氏が「社会の声をつむぐ小説 伝える新聞」と題して講演した。

 参加登録は1190件を超えた。大会は新聞協会主催。朝日東京、毎日東京、読売東京、日経、東京、産経東京、共同、時事の在京8社が協力した。開会式や記念講演、パネル討論の動画は特設サイトで来年2月末まで視聴できる。実践発表などの動画は今月30日までに同サイトで申し込むと見られる。

(2020年11月22日)

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