《東京でNIE全国大会》他者の視点を知る 道徳で投書欄を活用 実践発表で世田谷区立喜多見中・木村教諭
第25回NIE全国大会東京大会・分科会の実践発表では、世田谷区立喜多見中の木村要介教諭が新聞の投書欄を活用した道徳の授業を紹介した。テーマはレジ袋有料化の是非。生徒はワークシートに考えを書いた後、意見交換したり、投書を読んだりして自分の考えをまとめ直した。生徒からは「投書を読むことで、自分と違う意見や視点を知ることができた」との声が上がった。
当初は環境保全の観点から有料化に賛成していた生徒たちは、投書を読み、マイバックを使った万引きが増えかねない、との論点に気づいた。意見を変える生徒もいた。
話題のニュースについて多様な年代や職業の人の見方が分かる投書欄の活用は「生徒が多角的に物事を考えるきっかけになる」と木村氏。新学習指導要領の「物事を広い視野から多面的・多角的に考える」という目標を達成できると語った。
投書のテーマ選びでは政治問題など「生徒の知識量に差があるニュースは避ける」ことを注意点に挙げた。社会的な課題について平易な言葉で書かれたものを選んでいるという。
全校でNIEに取り組む国分寺市立第五小の教諭らは児童の発達段階に合わせた実践法を紹介した。2年の授業では紙面に登場する人物を軸に、物語を考えさせる。児童に主人公を選ばせることで、想像力を引き出しながら新聞に関わる機会を作っている。
高学年では記事の読み比べや、感想を同級生と話し合う場を設けている。児童からは「身近な人との意見交換を通じて、相互理解を深められた」との意見が出た。
同校が重視することの一つが「教師自身が新聞を読み、楽しむ」こと。教員の体験を児童に還元しているという。
(2020年11月22日)