権利者の利益保護要請 図書館資料の複製送信で意見 文化庁に新聞協会
新聞協会は12月21日、図書館の所蔵資料のコピーを利用者にメールなどで送れるようにする著作権法の改正論議に関し、権利者の利益を保護する厳格な要件設定を求める意見書を文化庁に提出した。発行当日の新聞や電子版の記事、有料の記事データベースは送信対象から外すよう求めた。
文化庁の作業部会が11月9日、図書館の設置者に補償金の支払いを求めた上で、出版市場を阻害しない範囲に限り送信を認める旨の中間報告書をまとめていた。分量や送信後の拡散防止策は運用指針で定める。補償金額は「権利者の逸失利益を補えるだけの水準が適当だ」とし、文化庁長官指定の管理団体が一元的に徴収・分配を担う仕組みを目指す。
新聞協会は一定の条件下で送信を認めるのは「やむを得ない」としつつ、データを受け取った利用者が何度も複製したり、商用目的で活用したりすれば権利者の利益を損なうとして、法制化の際に適切な措置を講じるよう要望した。データベースの利用規約で他者への送信を禁じている場合は規約上の利用条件が優先される旨を報告書に盛り込んだことは「評価したい」と記した。
現行法は、図書館が調査研究目的の利用者に蔵書の一部のコピーを手渡しや郵送することを認めている。
(2020年12月21日)