IT大手の対応検証を 電子広告取引透明化で意見 新聞協会
新聞協会は5月27日、デジタル広告取引の透明化に向け法規制の方針を示した政府の報告書に対し、実効性のある取り組みを求める意見書を提出しました。取引を仲介する巨大IT企業に取引条件や不正対策などの開示を求める方針を支持した上で、政府が事業者の対応を検証する必要があると説いています。良質なメディアに適切な広告対価が支払われていないといった本質的な課題が解決されるかは現時点で「判然としない」と指摘しました。
内閣官房の意見募集に応じました。政府のデジタル市場競争会議は4月に公表した報告書で、「デジタルプラットフォーム取引透明化法」の対象分野にデジタル広告を追加すべきだと提言していました。
新聞協会は意見書で、デジタル広告の取引実態は見えにくく、メディア側が適正な収益を得られていないとの疑念があると指摘。透明化法に基づき巨大ITに情報開示を求めることは「コンテンツの価値を正当に評価する上で重要なポイントだ」との考えを伝えています。
不正対策など広告の質の向上が良質なメディアへの対価還元につながるとした報告書の内容を踏まえ、政府には法規制の実効性を高めるよう求めました。取引構造の実態把握にも積極的な関与を求めたいとしています。
取引条件の変更に関しては、事前に議論する場を設けるよう巨大ITに促した点を評価しました。一方的な変更など独禁法上の問題が生じた場合は公正取引委員会に適切な対応を期待すると記しました。
検索結果の表示ルールについても、順位を決める主な要素や変更理由の開示、苦情や相談を受け付ける体制構築を政府が求めた点は適切だと評価しました。
意見書の全文はこちら(PDF)。
(2021年5月27日)