行政・企業との連携が鍵 防災・減災巡り新聞社の役割議論 ニュースパークがシンポジウム
ニュースパーク(新聞博物館)は9月19日、防災や減災に向け新聞社が果たす役割について、地方紙の担当者や研究者らが議論するシンポジウムを開きました。行政や企業など新聞社以外とも連携し、地域住民の命を守るための課題解決に取り組む必要性などが指摘されました。地域に根差した新聞社のネットワークが強みになるとの意見も出ました。
神戸新聞社は阪神・淡路大震災の経験と教訓を若い世代に伝承する「ぼうさいマスター」を育成してきました。また、地元の古民家を再生して観光資源に活用する事業なども展開しています。梶岡修一取締役DX統括本部長兼報道コンテンツ本部長、編集局長はこうした活動で地域住民や企業の協力を促し、つながりを強めておくことが防災・減災の基盤につながると述べました。「防災に直結する事業でも地域と連携を深めたい」と話しました。その際、収益化が課題になるとしました。
被災地への移動式トイレの派遣事業などを担う助けあいジャパンの石川淳哉共同代表は新聞社の防災・減災活動について、行政や企業、メディアなどが協力し社会課題の解決に挑む「コレクティブ・インパクト」の枠組みで取り組むことを提案しました。「新聞社のネットワークを生かせば、活動の調整役を担える」と指摘。こうした取り組みは、環境や社会問題を重視した投資の対象にもなると紹介しました。
東日本大震災発生時に河北新報社の報道部長を務めていた宮城教育大学の武田真一特任教授は、地方紙12社で震災の教訓を発信した事例などを紹介。より多くの人に情報を届けるため、社外と協力することの重要性を強調しました。
兵庫県立大学大学院の室崎益輝減災復興政策研究科長は新聞社に対し、研究者との連携を深める必要もあると説きました。
シンポジウムは、26日まで開かれた企画展「伝える、寄り添う、守るーー『3・11』から10年」の一環。
(2021年9月19日)