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事実の記録が責務 実名報道巡り考え方を公表 新聞協会

 新聞協会は3月10日、事件や事故の被害者を実名で伝える意義をまとめた「実名報道に関する考え方」を公表しました。社会で共有すべき情報を記録することは報道機関の責務だとした上で、事実の核心である被害者の氏名を欠けば「事件の教訓を得たり、後世の人が検証したりすることができなくなる」と実名報道に理解を求めました。実名の必要性は事件ごとに報道各社が判断するとし、遺族の意見や疑問には「真正面から向き合い、応対する責務を負っている」と説明しました。

 実名報道の考え方は、五つの疑問に答える形式で整理しました。匿名を希望する遺族の意向は考慮しているか、との質問に対しては「遺族の思いは尊重されるべきだと考えている」などと記載。遺族の希望や事件の重大性などを考慮し、実名報道の必要性をその都度悩みながら議論しているとしました。

 取材上の配慮として集団的過熱取材(メディアスクラム)対策に取り組んでいることや、記事を書く上では「命の尊さ、当事者の思いを損なわないよう最大限の注意を払っている」ことも説明しました。

 新聞協会は2019年7月に起きた京都アニメーション放火殺人事件をきっかけに、編集委員会下部の編集小委員会を中心に実名報道の在り方を議論しました。議論の過程では事件・事故で子供を亡くした遺族や弁護士らの意見も聞きました。

 「実名報道に関する考え方」はこちらでご覧いただけます。

(2022年3月10日)

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