<NIE全国大会>学校と新聞社の連携が鍵 思考力育む記事活用策報告
第27回NIE全国大会は8月4、5の両日、宮崎市の宮崎市民文化ホールと宮崎公立大で開かれました。大会スローガンは「いまを開き 未来を拓(ひら)く NIE」。パネル討議では、新聞活用により子供の思考力を育むことにつながったとの報告がありました。地域に精通した記者と子供が交流する学びの実践など、学校と新聞社との連携がさらに重要になるとの提案が出されました。対面形式での開催は3年ぶり。
新聞協会の丸山昌宏会長(毎日新聞社)は開会あいさつで、今年度から始まった第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」で自治体に交付される公立校の図書館への新聞購入費が増えたことに触れ「子供たちの学びに新聞を役立てる機運はますます高まっている」と話しました。また、7月の参院選で18、19歳の平均投票率が全体より低かったことに言及。社会への参画意識を持てるようになるために、子供の頃から新聞を読む習慣を身に付けてもらうことが重要だと述べました。新聞を通じ多様な意見や視点を吸収できると強調しました。
宮崎日日新聞社の河野誠司代表取締役社長はあいさつで、新聞を読むことにより「想像力や読解力、文章力、集中力、判断力が身に付く」と指摘。大会を通じ、NIEの重要性がさらに浸透してほしいと述べました。
パネル討議では、児童・生徒の読解力を伸ばすための学校現場での実践例などを巡り意見交換しました。宮崎県立宮崎西高付属中の木幡佳子指導教諭、宮崎大理事・副学長の新地辰朗氏、県立宮崎西高1年の高村心花さん、こゆ地域づくり推進機構・教育イノベーション推進専門官の中山隆氏、新聞協会NIEコーディネーターの関口修司氏が登壇しました。
木幡氏は生徒が毎週新聞記事スクラップに取り組む実践を紹介。3年間続けることで「生徒の記事に対するコメントが感想から意見に変わり、自ら次の『問い』を見つけられるようになった」といいます。
付属中で記事スクラップを経験した高村さんは「毎週取り組むことで習慣化できた」と振り返りました。記事に触れることで、さまざまな社会課題に対し自分の考えを伝えることができるようになったと話しました。
地域での教育支援などに取り組む中山氏は、NIEを通じ「情報を収集、分析する力を育むことができる」と指摘。子供たちが地域社会とのつながりを学ぶ上で、地元の情報に精通した記者に話を聞くことが有効だと述べました。
関口氏は、論理的な文章を読み取ったり、情報収集し課題解決の方法を見いだしたりする力を育むことが求められていると説明。「新聞の文章やグラフ、図表などに日常的に触れることが大切だ」と話しました。
旭化成名誉フェローの吉野彰氏が「リチウムイオン電池が拓く未来社会」をテーマに記念講演に立ちました。
大会は新聞協会主催、宮崎県と宮崎市の教育委員会の共催で開かれました。宮崎日日新聞社と宮崎県NIE推進協議会が主管しました。教員や新聞関係者ら計1100人が参加しました。会場の人数を制限するなど、新型コロナ感染対策を施した上で開催しました。
全体会、分科会の一部プログラムは、9月1日から10月31日まで大会専用ページでオンデマンド配信します。
(2022年8月4日)