企画展開幕 海洋環境巡る報道紹介 暮らしとの関わりに迫る ニュースパーク
ニュースパーク(新聞博物館)の企画展「海からのメッセージ――海洋環境と報道」が、9月10日に開幕しました。日本各地の海の生態系の変化や、海洋汚染の実態などについて記事や報道写真を通じ紹介。地域の漁業を巡る問題などに密着し、解決策を探る新聞報道への理解を深めてもらいます。環境保護に向けた行動を促す端緒にしてもらう狙いもあります。博物館支援事業「海の学びミュージアムサポート」を提供する船の科学館(東京都品川区)が特別協力しています。
展示は「記者がとらえた海の底」「海と暮らす人々に寄り添う」「南極から地球を考えた記者たち」の3部構成。展示総数は224点。
「海と暮らす人々に寄り添う」と題したコーナーでは、生物多様性と環境汚染という二つの視点から、海と地域住民の暮らしとの関わりに迫ります。海と共に暮らす人々の生活に関する課題を取り上げた記事などを展示しています。静岡新聞の連載「サクラエビ異変」(2018年~)は地元・駿河湾産のサクラエビの不漁を巡り、採石業者による汚泥の不法投棄などについて報じました。サクラエビの資源回復に向けた専門家による政策提言なども伝えました。
海洋汚染を原因とする公害事件を報じた紙面も並べました。水俣病を巡っては、政府が公害として認定し、原因となった企業チッソへの賠償判決が出される様子を報じた紙面などを時系列で展示。熊本県水俣市の漁村で起きた異変を初めて伝えた熊本日日新聞の記事(1954年8月1日付)は「百余匹いた猫がほとんど全滅」と報じています。
水中の生物を撮影する際に記者やカメラマンが使った機材や、南極観測隊に同行する記者が身に着けた防寒靴なども見られるようにしました。
企画展は12月25日まで。
企画展の概要はこちらでご覧いただけます。
(2022年9月10日)