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公正競争の阻害を警戒 NHKネット業務拡大巡り 総務省WGで新聞協会意見

 新聞協会メディア開発委員会は11月24日、総務省の「公共放送ワーキンググループ(WG)」(主査=三友仁志・早大教授)に出席し、NHKのインターネット活用業務の在り方などについて意見を述べました。受信料を財源とするNHKについて「採算を度外視してネット業務を展開できる」状況にあると批判。NHKがネット業務を際限なく拡大すれば、公正競争が阻害され「言論の多様性やメディアの多元性が損なわれる」との危機感を示しました。新聞・通信社がネット空間で果たす役割についても説明しました。

 メディア開発委は、新聞・通信各社が定額課金制のニュースサイト運営などデジタル事業を収益化する経営努力を重ねていると説明。他方、NHKのネット活用業務の予算(上限200億円)は新聞・通信社のデジタル事業の予算規模を大きく上回っていると述べました。今後、NHKのネット事業が本来業務に「格上げ」された場合、「予算の歯止めすらなくなる可能性があり、事業が存続できなくなる民間メディアも出てきかねない」との懸念を示しました。

 また、NHKは放送番組の関連情報を提供する「理解増進情報」の名目でネット事業を「どんどん拡大している」と指摘。ニュースサイト「NHK NEWS WEB」や、ニュースや災害情報を伝える「NHKニュース・防災アプリ」などの無料コンテンツは、有料会員や広告収入の獲得を目指す新聞・通信社のデジタル事業と競合していると説明しました。

 ニュースを深掘りして解説する「政治マガジン」などのオリジナルコンテンツは「理解増進情報」の範囲を逸脱しているのではないかと問題提起しました。「政治マガジン」は民間メディアであれば有料でないと採算が取れないとし「公正競争と受信料制度との整合性の観点から課題がある」と強調しました。

 無料通信アプリ・ラインを使ったニュース配信など、NHKによるプラットフォーム事業者を通じた無料コンテンツの配信についても見直しが必要だと主張しました。NHKがプラットフォーム事業者との関係を強化し、無料コンテンツの配信を拡大すれば「民間メディアのデジタル事業が影響を受けるのは明らかだ」としました。WGに対しては、ネット事業の本来業務化を議論する前に「NHKの業務として妥当な範囲」を客観的に判断できる仕組み作りに関し議論するよう求めました。

 偽情報の拡散がネット空間の課題として挙がる中、新聞・通信各社は不確かな情報を検証する報道などを展開していると強調しました。デジタルの特性を生かした取材や発信にも取り組んでいると説明。デジタル上でも正確で確かな情報を発信する責務を果たすことで、健全な民主主義の発展に寄与したいと訴えました。

 WGの会合には民放連も参加しました。WGに対し「メディアの多元性確保のため、NHKと民間事業者の公正競争が維持できるよう丁寧に議論してほしい」と述べました。

 意見の全文はこちらでご覧いただけます。

(2022年11月24日)

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