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<いっしょに読もう!新聞コンクール> 小中高最優秀賞など発表 表彰式で受賞者と記者対談

 新聞協会は12月12日、第13回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞作を発表しました。小中高3部門の最優秀賞各1編のほか、優秀賞30編、奨励賞118編を選びました。優秀学校賞は15校、学校奨励賞は181校に贈ります。応募総数は5万6998編でした。17日には表彰式がニュースパーク(新聞博物館)で開かれました。小中高3部門の最優秀賞受賞者が記事を書いた記者と対談しました。

 小学生部門の最優秀賞は鳥取県岩美町立岩美北小6年の森川遙人さんが受賞しました。森川さんは、除草剤などに含まれる化学物質で、頭痛や腹痛に悩まされる高校生を取り上げた日本海新聞の記事を選びました。

 記事を読んだ森川さんの母は、症状に対する周囲の理解が追いついていないと指摘。「正しい知識を得られる場が必要だ」と話しました。森川さんは、多くの人に情報を届けるメディアの有効性に気付いた一方で「一番大切なのは情報を受け取る側の心だ」と記しました。人のつらさや苦しさに目を向けられる社会への考えを深め、自分の問題として捉えた点が評価されました。

 森川さんは、同じ症状に悩む人と接する際に「衣服の洗濯に使う柔軟剤の使用量を減らすなど、記事で症状の存在を知る前よりもできることがある」と話しました。共同通信社・生活報道部の岩崎由莉記者は「症状への無理解で、生徒や家族に心ない言葉が浴びせられるのではないか」と考え、記事の公開が不安だったといいます。しかし「森川さんが自分の問題として受け止めてくれたことがうれしい」と語りました。

 中学生部門の最優秀賞は徳島県鳴門教育大付属中3年の河野地里子さん。高齢運転者の交通事故対策で福井県警が導入した、運転技能の自動診断装置に関する福井新聞の記事に目を留めました。

 河野さんは祖父に記事を紹介。祖父は、家族から免許返納を勧められると意地を張ってしまうものの、装置の診断であれば受け入れるかもしれないと話しました。「祖父が心の中で悩んでいたことを初めて知った」河野さんは、装置のデータ技術を支える人工知能(AI)が、人同士のコミュニケーションを円滑にすることもあると考えました。人の言葉の裏にある気持ちやAIの可能性などに気付き、思考を深めている点が評価されました。

 河野さんの祖父は、記事を契機に悪天候の際や夜間の運転を控えるようになったといいます。福井新聞社・報道部の小柳慶祥記者は「記事が実際に行動の変化に結び付いていると聞いてうれしい」と話しました。河野さんは「自分が意識していなかった視点を報じてくれる新聞で、今後も知識や視野を広げたい」と語りました。

 高校生部門の最優秀賞は広島大付属高1年の神尾惺那さんに贈りました。神尾さんは、プラスチックごみによる海洋汚染問題について、最新の実態を報じた中国新聞の記事を取り上げました。

 プラごみについて「最終的には人間にも影響を及ぼす」と話す母の意見を基に「私たちは新聞などのメディアを通じて『知る』努力をすべきだ」と記しました。海洋プラごみ問題を社会の共通認識にするため、授業参観のテーマに据えることで親世代にも知ってもらう案を示しました。海洋問題の解決に向け行動する大切さを指摘した点が評価されました。

 神尾さんがプラごみ問題に興味を持った契機は「プラスチック製の輪が口に挟まって食事ができないアザラシの報道写真に衝撃を受けた」こと。共同通信社・AIサイバー報道チームの澤野林太郎次長は、自身も取材後にマイボトルを持ち歩くようになったといい「問題の事実を知ることが行動を促すきっかけになる」と説明しました。

 入賞作・入賞校一覧はこちらでご覧いただけます。

(2022年12月12日)

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