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本来業務化ありきの議論 NHKのネット業務巡り総務省WGに意見 メディア開発委員会

 新聞協会メディア開発委員会は5月19日、総務省の「公共放送ワーキンググループ(WG)」に対しNHKのインターネット活用業務の検討の進め方に関する意見書を提出しました。メディアの多元性などを巡る課題について十分に吟味せずネット業務の「本来業務化ありきの議論をしている」と主張しました。また、NHK自体が考えるネット業務の具体像を示した上で、国民や視聴者、関係事業者の理解を得て議論を進めることが必要だと強調しました。

 意見書は「NHKのネット業務拡大が情報空間の健全性確保に不可欠だという理論に強い違和感がある」と主張。これまでのWGで、NHKがネット業務を拡大したとしても、「偽情報や、関心のある情報ばかりに包まれる『フィルターバブル』のような弊害を直接是正する可能性は限定的」との指摘があったことを挙げました。こうした点について十分に議論されていないとしました。その上で「NHKのネット業務の拡大が情報空間全体の改善にどの程度寄与するか、その効果が他の報道機関などに与える悪影響より優先されるのかを示すべき」と訴えました。

 受信料を原資にNHKがネット業務に取り組むことへの是非についてはさらに深掘りした議論が必要だと伝えました。ネット業務が「なし崩し的に拡大している」ことや、ネット業務の拡大が他の民間メディアとの公正競争に与える悪影響についても「議論が十分とは言えない」としました。

 こうした中、WGが今夏に議論を取りまとめるとしていることに対し「十分な時間が残されていない」と強調しました。総務省がこれまで求めてきた業務・受信料・ガバナンスの「三位一体改革」の趣旨を踏まえた議論の重要性を説いた上で、検討を拙速に進めてはならないと訴えました。

 また、NHKから業務の将来像について意見表明がないまま、WGが本来業務化に向けて議論を進めることは問題だと指摘。NHKに対し早期に会合で説明することを要請するようWGに求めました。

 メディア開発委はWGに10の質問事項も提出しました。民主主義の維持に向けたメディアの多元性の重要性や、NHKの業務構想なしに議論を進めていることへの認識などについて尋ねました。

 民放連も4月27日、13の質問をWGに提出。NHKのネット業務が本来業務となった場合の影響や、ネットでの視聴と受信料制度・財源との整合性などに関し尋ねました。

 意見と質問の全文はこちらでご覧いただけます。

(2023年5月19日)

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