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際限ない拡大を懸念 NHKのネット業務巡り総務省WGで意見 メディア開発委員会

 新聞協会メディア開発委員会は6月7日、総務省の「公共放送ワーキンググループ(WG)」(主査=三友仁志・早大教授)に出席しました。NHKのインターネット業務について「抽象的な議論に基づいて制度設計を進めれば、業務範囲が際限なく拡大しかねない」と強調。衛星放送のネット配信経費を予算に盛り込んでいた問題を挙げた上で、ガバナンスの在り方の検討をさらに深めるべきだと指摘。WGが今夏に予定している取りまとめを見送るよう求めました。

 NHKは5月26日に開かれたWGに出席し、ネット業務の必須化に向け業務範囲などへの考えを表明していました。メディア開発委はこの会合での説明を踏まえ意見を伝えました。

 NHKはネット業務を必須化する前提として、視聴者から「情報空間の参照点」を提供する役割が求められていると主張。その上で「放送と同様の効用をもたらす範囲」の業務を必須化したいと述べました。メディア開発委はこれらの主張に対し「定義があいまい」だと指摘しました。必須業務にしなければならない理由や、現在の放送の補完業務でできないことを具体的に説明するよう求めました。

 NHKが「NHK+(プラス)」で提供する放送の同時・見逃し配信と、報道サイト「NHK NEWS WEB(ニュースウェブ)」をネット業務の基本として説明したことへの疑問と懸念を伝えました。ニュースウェブは放送内容が再構成され、内容が放送番組と異なる場合があると指摘。「無制限でネット展開できるとの考え方には疑問だ」としました。

 また、NHKは防災や教育に関する情報についても「放送と同様の効用が異なる態様で実現される」とした上でネット業務に含むとしました。メディア開発委は「放送と同様の効用」「異なる態様」との説明について「定義があいまいで拡大解釈につながりかねない」との懸念を示しました。

 ガバナンスの在り方について、NHKは経営委員会などの内部で競争評価を済ませると示しました。WGの有識者からはこの方針に異論が相次ぎました。メディア開発委はこれを指摘し「公正競争に対する懸念は払拭されない」としました。

 「情報空間の多元性の確保」は本来業務と説明するNHKに対し、必須業務と別の考え方なのか明確にすべきと主張しました。プラットフォームなどを通じた情報の提供や、負担の在り方についても説明が欠けていると指摘しました。

 その上で、WGに15の疑問点を提出しました。NHKがネット業務を必須化したい理由や、「放送と同様の効用」の定義について説明するよう求めました。

 WGには民放連も出席しました。業務、受信料、ガバナンスの三位一体についての議論をさらに深めるよう要望しました。

 意見の全文はこちらでご覧いただけます。

(2023年6月7日)

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