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多元性損なう懸念拭えず NHKのネット業務巡り総務省WGに意見 メディア開発委員会

 新聞協会メディア開発委員会は6月29日、NHKのインターネット活用業務の位置付けについて話し合う総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」(主査=三友仁志・早大教授)の第10回会合(30日開催)に先立ち、WGの議論に対する意見書をWGに提出しました。NHKのネット業務について、メディアの多元性や言論の多様性を損なう可能性があると指摘。こうした疑念を払拭する回答がWGの議論で示されていないとし、速やかな議論と回答を求めました。

 メディア開発委はNHKのネット業務が「メディアの多元性や言論の多様性に与える影響は民主主義の維持・発展に関わる重大な論点であり、議論の出発点だ」と指摘。その上で「一度毀損(きそん)されたメディアの多元性や言論空間が元の姿を取り戻すことは難しく、情報空間の健全性確保にも逆行する可能性がある」としました。

 また、NHKが衛星放送番組のネット同時配信に向けた設備の調達費用を今年度の予算に計上していた問題に言及。NHKの経営委員会をWGに招き、組織統治(ガバナンス)の在り方について協議すべきだと訴えました。

 メディア開発委はNHKのガバナンスについて「ネット活用業務の議論の前提条件」だと主張。予算を巡る今回の問題を受けてNHKが設置した外部有識者による専門委員会の検討結果の妥当性と、検討結果が再発防止策にどのように反映されたかを確認した上で、ネット業務に関する議論を進めるよう求めました。

 30日の会合にも今城敬之委員長(産経東京)が出席。冒頭発言で「採算性を考慮する必要がなく、無料でネットサービスを提供できるNHKは新聞・通信社にとって脅威だ」と説明しました。ネット業務のさらなる拡大の影響を危惧すると主張した上で、慎重な検討を求めました。

 メディア開発委が5月19日付で尋ねた10の質問に対するWGからの回答は、過去の会合で出た意見の紹介にとどまりました。今城委員長は「懸念や疑問が払拭されるものではない」と指摘。ガバナンスや競争ルールの在り方など検討が必要なテーマが多数あるとしました。「今夏に拙速に方針を取りまとめることなく、議論を続けてほしい」との考えを示しました。

 意見の全文はこちらでご覧いただけます。

(2023年6月29日)

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