必須業務化に反対 NHKのネット業務巡り総務省WGに意見 メディア開発委員会
新聞協会メディア開発委員会は7月24日、NHKのインターネット活用業務の位置付けについて話し合う総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」(主査=三友仁志・早大教授)の第11回会合に出席しました。NHKのネット業務を必須業務(本来業務)化することにあらためて反対する意見書をWGに提出しました。必須業務化によりNHKのネット業務が「際限なく拡大する恐れがある」と伝えました。地方紙各社からも「(NHKのネット業務が)これ以上拡大すれば事業が立ち行かず、地方から言論の多様性が失われかねない」と危惧する声があると訴えました。
NHKがWGで示していたネット業務の希望に対し、「サービスの具体像や料金体系など依然不明瞭な点は多い」と指摘。業務範囲だけでなく、受信料制度との関係、競争ルール、審査・チェック体制、NHK全体のガバナンス体制などの論点について議論が尽くされていないと強調しました。「この夏に拙速に方針をとりまとめることなく、議論を深めてほしい」としました。
NHKが「報道サイト」を必須業務の「基本」に位置付けることについて「不適切だ」と主張。NHKによる「『放送』と同一の情報内容」との説明は「定義があいまいだ」としました。必須業務化した場合の報道サイトの料金体系など「利用者にとって重要な点も明確に示されていない」と指摘しました。
メディア開発委が5月19日に提出した質問に対する6月30日のWGによる回答について「過去の意見の紹介にとどまっている」としました。「疑念や懸念が払拭されていない」ため、さらに議論を重ねた上で回答するよう求めました。「本来業務化の目的や理由について明確な考えが示されなかった」点を疑問視しました。
NHKのガバナンスについては、衛星放送番組のネット同時配信に向けた設備の調達費用を予算に計上していた問題を挙げ「具体的なガバナンス強化策について方向性を示さず、取りまとめを優先することには危惧を覚える」としました。
意見の全文はこちらでご覧いただけます。
(2023年7月24日)