透明性確保 具体策が必要 デジタル広告取引巡り 経産省評価案に新聞協会が意見
新聞協会は1月12日、米グーグル、米メタ(旧フェイスブック)、LINEヤフーによる取引の透明性や公正性の確保に向けた取り組みに対し経済産業省が公表した評価案への意見書を同省に提出しました。「巨大ITが圧倒的に優位な立場にあるデジタル広告市場で、価格の不透明性の問題は独禁法上における大きな課題ではないか」と問い掛けた上で、巨大IT企業による価格の透明性確保に向けた具体的な改善策の提示の必要性に言及するよう求めました。
評価案は、巨大IT企業に取引条件の開示を義務付ける「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(透明化法)に基づきます。デジタル広告分野が2022年、同法の規制対象に加わりました。評価案はこれを踏まえ、広告の審査基準を具体化し、媒体社や広告主に分かりやすく説明することをIT企業に求めました。
意見書は、問題のある広告が「たびたび確認できる」としました。その上で「審査基準を日本国内の法令や文化的背景に見合ったものにすることを併せて求めるべき」と提言しました。
また、評価案が広告主・広告原稿の審査に触れているものの、「メディアの審査」について言及していないと指摘。ブランドセーフティーの観点からは、広告収入を得ることだけを目的としたウェブサイトに広告が表示されないことが重要だと主張しました。広告を媒体に表示するプラットフォーマーが悪質・低質なサイトと取引することを防いだり、こうしたサイトを排除したりする仕組みの構築などへの言及を求めました。
意見書は、評価案が媒体社や広告主からの苦情処理の手順を見直すようIT企業に求めたことに関し「苦情の処理だけでなく、減らす取り組みについても言及を求めたい」としました。広告に関し国内の媒体社から1年間で10万件超の苦情が寄せられていること自体を問題視すべきだと強調しました。
評価案はIT企業が媒体社に対し、プラットフォームを提供する条件を変更する場合に「十分な準備期間を設けるとともに、変更内容や理由を分かりやすく説明することが求められる」としました。意見書はこれを「評価案の通り、事前の説明や協議が必要だ」と評価しました。
また、利益相反・自社優遇は存在しないとする巨大ITの報告について、評価案が「客観的な検証が可能な形での説明が尽くされたとは言えない」と指摘している点に対しては「その通りだ」としました。
意見の全文はこちらでご覧いただけます。
(2024年1月12日)