IT企業 自主的に対応を ネット誹謗中傷巡り 総務省に新聞協会
新聞協会は1月17日、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷など有害な情報への対策を巡り総務省の有識者会議が示したとりまとめ案についての意見書を同省に提出しました。とりまとめ案がプラットフォーム事業者の自主的な対応を促す規律の導入を盛り込んだことについて、違法・有害情報の流通の深刻な状況に鑑みると「やむを得ない」としました。「対応が不十分だった結果、法的規制を招くこととなった事態を事業者は重く受け止め、真摯(しんし)に対応すべきだ」と訴えました。健全な言論空間の維持に向け事業者は主体的に取り組むべきだと強調しました。
とりまとめ案は12月に公表。規律の対象となる事業者を「不特定者間の交流を目的とするサービスのうち、一定規模以上のもの」と定めました。意見書は、対象となる事業者や情報の範囲が「限定的に規定されたことは妥当」としました。「報道機関による公正な取材に基づいた批判・論評と有害な誹謗中傷は明らかに異なる」と指摘。表現の自由に配慮した対応を事業者に求めました。
有識者会議はとりまとめ案で、投稿の削除を利用者が日本語で申請できる窓口の設置、削除の判断基準や手続きに関する指針の公表を事業者に求めました。意見書はこの点に関しても「適切だ」と評価しました。また、とりまとめ案は事業者に対し、利用者の削除申請を受けてから一週間程度で対応すべきとしました。意見書は「個別の事案に向き合い、責任を持って判断することが情報流通を担う事業者の公共的な役割」とし、誠実な対応を事業者に求めました。
とりまとめ案は、利用者が事業者に投稿の削除を求める「削除請求権」に関し「慎重に議論することが適当」とし、明文化を見送りました。意見書はこれを「妥当だ」としました。罰則付きの投稿削除義務や問題のあるアカウントを停止・凍結させる義務を法的に課すことについて「慎重であるべき」とした方針も「評価できる」と結論付けました。
意見の全文はこちらでご覧いただけます。
(2024年1月17日)