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2024年度予算・事業計画案、NHK経営計画に対する見解を表明 メディア開発委員会

ネット業務 削減方針説明を NHK予算案に見解

 新聞協会メディア開発委員会は2月9日、NHKの2024年度予算・事業計画案に対する見解を公表しました。インターネット活用業務に計上された予算について、「依然として巨額である上、どのような方針でサービスを削減するのかが不明瞭」と指摘。具体的な方針を明らかにするよう求めました。

 NHKは24年度予算・事業計画案でインターネット活用業務を巡り「既存サービスについては整理・見直しにより費用を削減」すると明記しました。ネット業務に関わる費用は195億円で前年比1・3%減とほぼ横ばいなものの、番組の関連情報として提供する「理解増進情報」を含む費用は10・9%減の90億9千万円。メディア開発委は、NHKのネット業務の位置付けを議論する総務省の「公共放送ワーキンググループ(WG)」(主査=三友仁志・早大教授)のとりまとめを踏まえ「妥当」と評価しました。

 WGはとりまとめで理解増進情報の廃止を求めました。メディア開発委はその背景に、WGの議論で公正競争への懸念だけでなく受信料制度との矛盾が指摘されてきた経緯があると言及。ネット業務の既存サービスに関わる費用を減らす方向性を打ち出した理由について、NHKが「明確に説明する必要がある」としました。

 また、受信料を支払わない人が受信料を原資に制作されたコンテンツを見られる現状の仕組みにNHKとして疑義があれば「直ちに現行制度を改めるべき」と強調しました。「フリーライド」や、受信料の負担の「不公平」の観点から「NHKは自らの責任で理解増進情報の運用について総括するとともに、指摘されてきた問題点を予算案の段階で十分に反映すべき」と主張しました。

 NHKのネット業務は、自社サイトでコンテンツを提供する「2号業務」と、外部事業者を通じ配信する「3号業務」に区別されます。メディア開発委は、NHKが両計画案とともに公表したネット活用業務実施計画で、2号業務について「外部プラットフォームを通じて提供」「ソーシャルメディアなどを積極的に活用」などと規定していると指摘。NHKがプラットフォームにコンテンツを無料で提供すれば、民間の報道機関との取引条件に悪影響が出かねないと懸念を示しました。

 また、プラットフォーム上で受信料の支払いと関係なくコンテンツに触れられるため「受信料制度の整合性の観点から問題だ」と強調しました。「NHKがプラットフォームとの結び付きを強めることは慎重であるべきだ」としました。

多元性確保重要 中期計画にも見解

 新聞協会メディア開発委は2月9日、NHKの2024~26年度の中期経営計画に対する見解も公表しました。NHKに求められる役割の基軸として経営計画が「信頼できる多元性確保への貢献」を位置付けたことを「極めて重要」としました。経営計画が「基幹となる二元体制維持」と「メディア産業全体のために」と題し具体的な予算規模とともに多元性の確保に取り組む方針を示したことも「適当」と評価。その上で、より具体的な方針を示すよう求めました。

 経営計画は、昨年10月に値下げした受信料額を維持しつつ、事業支出を27年度までの4年間で約1千億円を減らすとしています。メディア開発委は「不断に業務範囲の見直しを進め、国民・視聴者に還元することは重要」としました。その上で「予算の編成段階で厳しい見通しを示しながら、結果、黒字となり、収支差金を繰越金に蓄積している構造的な課題がある」と指摘しました。今後は検証するためにも、実態を踏まえた内容にすべきだと主張しました。

 経営計画期間中に黒字に転換した場合は受信料の「値下げの原資を確保できる」と説明。さらなる値下げなどによる国民・視聴者への還元が重要だと訴えました。

 予算・事業計画案、中期計画に対する見解の全文はこちらでご覧いただけます。

(2024年2月9日)

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