1. トップページ
  2. 新聞協会ニュース
  3. 新聞協会ニュース
  4. <NIE全国大会・パネル討議>新聞活用が対話促す 教育関係者ら

<NIE全国大会・パネル討議>新聞活用が対話促す 教育関係者ら

 初日のパネル討議は、授業で新聞を用いる利点やその歴史などに関し話し合いました。京都市学校歴史博物館の林潤平学芸員、スマートニュースメディア研究所の長澤江美研究員、京都教育大付属桃山中の神崎友子主幹教諭(新聞協会NIEアドバイザー)が登壇。進行は、元京都府・市の中学校教員で神戸新聞社の記者経験を持つ宮澤之祐氏(新聞協会NIEアドバイザー)が務めました。

 長澤氏は電通が2018年に実施した調査で、30代以下は新聞よりもSNSの情報を頼りにしているとの結果が出たと紹介。「マスメディアとSNSの情報の質の差が分からない人は増えている」と警鐘を鳴らしました。NIEを通じ、マスメディアの情報が事実確認を経て発信されていることなどを伝えれば、メディアに対する子供の見方が変わるのではないかと話しました。

 神崎氏は国語の授業で、部活動の地域移行や理不尽な校則などに関する社説を使った実践例を紹介。身近な話題を扱うことで、生徒が自分の考えを夢中で書いたり、同級生の意見を積極的に聞いたりする姿勢がみられたと語りました。

 宮澤氏は生徒に興味を持った記事の感想を発表してもらっていた経験を紹介。当初は「この新聞には何も載っていない」と話す生徒もいたものの、同級生が取り上げる記事を基に対話する中で、ニュースへの関心を持つようになったと振り返りました。

 玉石混交の情報があふれる中で子供に対話を促す意義や、その素材として新聞を活用してもらうための方策についても意見が出ました。

 神崎氏は社会の分断などが言われる中で「対話」が問題を多面的に捉え、他者を理解することにつながると説明しました。長澤氏は、関心のある情報だけに囲まれるフィルターバブルの環境下では対話が生まれづらいと指摘。こうした環境を生むアルゴリズムの弊害を知ることが大切だと述べました。子供たちのマスメディアへの理解を深める上では、報道の担い手の苦労を伝えることが役立つとしました。

 林氏は大正期に京都市の小学校で新聞を使った授業が実施されている様子を捉えた写真を紹介。使われた新聞の日付や授業の実施時期は新聞記者の取材で明らかになったと説明しました。

(2024年8月1日)

ページの先頭へ