プラットフォーム事業者の「責務強く」 偽情報巡る総務省会議案に 新聞協会
新聞協会は8月20日、インターネット上の偽・誤情報への対策について総務省の有識者会議が示した取りまとめ案に対し、「プラットフォーム(PF)事業者の責務をより強く打ち出すべき」とする意見書を同省に提出しました。「偽・誤情報の流通や拡散により民主主義の前提となる個人の自律的な意思決定が脅かされ、権利侵害や社会的混乱が発生している」との取りまとめ案の指摘について「PF事業者の自主的な対応が不十分」なことが要因だと言及。PF事業者が「真摯に対応すべき」と訴えました。
取りまとめ案は「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(座長=宍戸常寿東大院教授)が7月にまとめました。
意見書は、人々の関心を刺激して広告収入を得るアテンションエコノミーによるさまざまな課題を引き起こすのは「PF事業者のサービス設計によるところが大きい」と主張。PF事業者が情報流通を担う責任を自覚し「健全な言論空間の維持に向け主体的に取り組む必要性が十分に記載されていないことは残念」としました。
新聞社などの伝統メディアに期待する役割として、取りまとめ案は「ファクトチェックの推進」を盛り込んでいました。これに対し、意見書は検討会の議論でファクトチェックについての「共通認識が形成されなかった」と指摘しました。そうした中で「伝統メディアがファクトチェックの推進に責務を負うかのような表現には違和感を覚える」としました。
取りまとめ案はデジタル空間における情報の発信、伝送、受信の過程に関わる「各ステークホルダーによる連携・協力」が必要だとしています。その上で、協議に機能不全が生じた場合は「補完的に政府が関与する」と記述したことに対して「報道機関への法的規制につながれば国民の知る権利が毀損されかねない」として慎重な検討を求めました。
デジタル広告の流通を巡るPF事業者の取り組みにも、取りまとめ案は言及。違法・不当な広告が掲載されたウェブサイトの管理者などから広告掲載を停止するよう申し出があった場合に、迅速に対応する必要性があるなどとしました。意見書はこれを踏まえ「悪質な広告からサイト利用者を保護するため、PF事業者に実効性がある対応を求めたい」と強調しました。
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(2024年8月20日)