媒体の多様性確保重視を NHKネット巡り総務省に 公正競争成り立たぬ メディア開発委員会
新聞協会メディア開発委員会は12月2日、NHKが示したインターネット活用業務実施基準の変更案に関する総務省の考え方への意見書を同省に提出しました。NHKのネット業務が「直ちに市場の競争を阻害する恐れは低い」とする同省に対し、受信料が財源のNHKと、民間メディアでは「『公正な競争』は成り立たない」としました。市場の競争への影響について諮問機関に見解を求めることにとどまらず、メディアの多元性への影響やその確保についても重視することを実施基準に盛り込むよう同省がNHKに求めるべきだとしました。
実施基準の変更案は、地上波テレビ・ラジオ・国際放送の見逃し配信と番組関連情報(必要的配信)を除いた「任意的配信」についての規定。総務省がこれに対する考え方を11月7日に示しました。考え方は、NHKがネットを通じ提供する情報の種類や内容について「適正かつ明確に定められている」と評価していました。
変更案によるとNHKは必要的配信や任意的配信とは別に「周知広報」の付帯業務を設けています。意見書は「拡大解釈につながらないよう実施基準で明確に規定するよう求める」と訴えました。外部事業者を通じた災害時の同時配信などの業務についても「放送番組の編集上必要な資料」の配信を可能としていることから「必要的配信よりも幅広いコンテンツ展開が行われかねない」と懸念を示しました。限定的に展開することを認可の条件とすべきだと強調しました。
NHKは必要的配信を来年10月に始めたいとしています。考え方は、変更案が2025年度上半期のネット業務の費用を100億円と規定したことについて、これまでの年間上限額200億円の半年分として「同水準で適当」としていました。メディア開発委はこれまでも予算上限に対する費用の高止まりが指摘されていることを踏まえ、現行と同水準であるから適切だとする考えには「疑問を抱かざるを得ない」としました。予算の妥当性についての説明をNHKに求めるべきだと訴えました。
※意見書の全文はこちらでご覧いただけます。
(2024年12月2日)