短時間で本質を伝える デザイン部門役割巡り討議 「タイパ」時代に重要 ニュースパーク
ニュースパーク(新聞博物館)は12月8日、新聞・通信社のデザイン部門が果たす役割や課題などを討議するトークセッションを開きました。朝日新聞社の倉重奈苗デザイン部長は「タイムパフォーマンスを重視する考えが広まり、長文は読まれにくくなっている」と指摘。短時間でニュースの本質を伝えるグラフィックスの重要性が高まっていると述べました。
報道用グラフィックスについて「重要なニュースを読者に伝える『フック』になる」と倉重氏。社内では、ニュースをつかんだ初動段階からどのようなイラストを載せるべきか、記者とデザイナーが議論しやすい環境作りを重視しているといいます。ニュースに対する読者の関心を高める上で、デザイン部門が主体的に制作に関わることが求められていると強調しました。
共同通信社の酒田英紀グラフィックス部長は「グラフィックスのイメージが読者に与える影響は大きい」と話しました。加盟社向けにイラストを配信する際は、男女の役割分担を決めつけたデザインや色使いにならないよう注意しているとしました。カラーユニバーサルデザインの取り組みも説明。人により色の見え方は異なるとし、災害情報などを正確に届ける工夫を凝らしているといいます。
朝日・デザイン部の岩見梨絵氏、共同・グラフィックス部の團之原万葉氏も登壇。紙面や動画、SNSに載せる報道用グラフィックスの事例などを紹介しました。
12月22日まで開催した企画展「ニュースを伝える情報デザイン―インフォグラフィックスと新聞整理の世界」の関連イベント。60人が参加しました。
(2024年12月8日)