いっしょに読もう!新聞コンクール 小中高最優秀賞など発表
新聞協会は12月9日、第15回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞作を発表しました。小中高3部門の最優秀賞各1編のほか、優秀賞30編、奨励賞120編を選びました。優秀学校賞は15校、学校奨励賞は190校に贈ります。応募総数は6万1576編でした。
小学生部門の最優秀賞は広島県安田学園安田小5年の村上正真さんが受賞しました。村上さんは、1985年から原爆死没者名簿への記帳を続ける元広島市職員の女性を取り上げた朝日新聞の記事に目を留めました。名簿には村上さんの高祖父と曽祖父の名も記されているといいます。
村上さんは被爆者の曽祖母に記事を紹介。曽祖母は自身の体験を振り返った上で、記帳する女性をねぎらいました。名簿に名前が載った人それぞれに人生があることに気付いた村上さん。「被爆者から話を聞いて、次の世代へつないでいく」とつづりました。悲惨な歴史を自分自身の問題と捉え、被爆者の声を未来に引き継ぐ決意を表明した点が評価されました。
中学生部門の最優秀賞は広島大付属中2年の冨田花音さん。子供食堂の表現を「みんな食堂」などに変え、子供以外の利用を促す活動を伝える中国新聞の記事を選びました。
叔母が子供食堂を運営しているという冨田さん。記事を読んだ叔母は、食堂について「地域交流の場」だと話しました。冨田さんは、「貧困や孤食で困っていなければ、来てはいけない」といった思い込みをなくすことで、食堂が「たくさんの人にとって温かみの感じられる、かけがえのない場所になる」と記しました。叔母との対話を通じ、地域社会に貢献できる食堂の在り方について考えを深めた点が評価されました。
高校生部門の最優秀賞は福岡県立東筑高3年の柴田深冬さんに贈られました。聴覚障害者向けに、音楽ライブの歌詞やトークを手話で伝える通訳について紹介する西日本新聞の記事に着目しました。
柴田さんは記事を読み、聴覚障害者がコンサートを楽しむには高い障壁があることを知りました。「全ての人にコンサートを楽しむ権利がある」と話す母親の意見を基に、障害者の思いに寄り添うための環境整備が必要だと考えました。その上で、将来の夢である工学の道に進み、「誰もが公平に楽しめる幸せな社会の実現」に貢献したいとしました。障害者を取り巻く課題への理解を深め、工学を志す自らや社会ができることについて思考を深めた点が評価されました。
表彰式は12月14日にニュースパーク(新聞博物館)で開きます。
※入賞作・入賞校一覧はこちらでご覧いただけます。
(2024年12月9日)