アンマンの空港で毎日新聞記者の所持品爆発で空港職員1人死亡、5人負傷
同記者に実刑1年6月、毎日は関係者を処分
ヨルダン・アンマンのクイーンアリア国際空港の出発ターミナルで5月1日午後6時50分ごろ、毎日新聞東京本社写真部の五味宏基(ごみ・ひろき)記者が所持していた釣り鐘形の物体が爆発、空港職員1人が死亡、4人が負傷した。五味記者はヨルダン当局に逮捕され、6月1日、国家治安裁判所から、過失致死罪と同傷害罪で禁固1年6月の実刑判決を下された。同記者の弁護士と検事総長の双方は6月2日、控訴しないとの書類に署名し、五味被告の判決が確定した。
毎日新聞によると、五味被告の弁護士は2日、アブドラ・ヨルダン国王による特赦を申請した。同弁護士は申請理由について「五味被告に故意のない爆発事故だった」と述べたという。
爆発した物体は、イラク内の道路脇に放置されていたクラスター爆弾の子爆弾で、五味記者は爆発し終わった残がいだと思い所持していた。
事件発生を受け斉藤明(さいとう・あきら)代表取締役社長が7日未明、北村正任(きたむら・まさとう)常務取締役主筆とともにアンマンに赴き、空港治安当局の最高責任者であるアブドラ・シュデイファト司令官やアドワン情報相に面会し謝罪、亡くなった職員の遺族宅を弔問した。八日には、アブドラ国王とラガダン王宮で会談し謝罪、また、負傷者を見舞った。
毎日新聞は事件を一報した5月2日付夕刊におわびを掲載するとともに、5月3日朝刊であらためて、「亡くなられた方のご冥福を心からお祈りすると共に、ご遺族、負傷された方々に深くおわびし、誠意を持って対応させていただく。記者個人の過失とはいえ、毎日新聞社としての責任を痛感しており、事件解明の進展を待って、管理、指導する立場の者も含めた責任の所在を明確にする」との社告を掲載した。
また、現地の主要2紙「アルライ」「アッデスツール」に5月6日、謝罪広告を掲載した。
5月14日付朝刊に2ページ見開きで、五味記者からの手紙の要旨、事件経過報告などを掲載した。
その中で「毎日新聞社が前面に立ち、おわびをするとともに誠意をもって対応する。知り得た事実を隠すことを避けるのはもちろん、毎日新聞が記事にするものについては事前に各社に発表する情報公開の方針を決めた」と社の姿勢を説明した。
五味記者は手紙のなかで謝罪のうえで「信じてもらいたいのは、決してこの爆発したものが、その可能性があると思って持ち出したものではない。一人のバカな写真記者の仕出かした行為で、世界中で活躍する(マスコミの)皆さまに大きなご迷惑をおかけした」と述べた。
毎日新聞社は19日、五味記者が起訴されたのを受け、「斉藤社長は当分の間、取締役報酬を全額返上する」などの関係者の処分を発表した。