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2008年 1月15日
人口減・高齢社会の縮図見る
神奈川「団地はいま ドリームハイツの挑戦」
人口の減少や高齢化。日本が抱える大きな問題だが、多くの家族が暮らす団地はそうした人口減社会の縮図の一つだ。一日から始まった連載は、県内の典型的な郊外団地にスポットを当て、急速な高齢化などに取り組む住民の姿を追った。
横浜市戸塚区の大規模分譲団地、ドリームハイツ。一九七二年から入居が始まり約二千三百戸が分譲されたが、二〇〇五年の住民数はピーク時より三割少ない約五千六百人。逆に高齢化率は23・8%と市などの平均を大きく上回り、子供らの独立で高齢夫婦が「標準世帯」になりつつある。単身世帯も三百八十八世帯(〇五年)あり、全体の二割近くを占める。
第一部「老いと向き合う」(八回)は、高齢化率が十年後には48%にも達すると予想される中で、団地住民たちが自主的な福祉活動などを通じてつながりを深め、暮らしの活力を維持しようとしている様子をリポート。
買い取った一室を談話室として開放し曜日ごとに囲碁やパソコン教室などの企画が楽しめるNPО法人「いこいの家 夢(むー)みん」の活動。やはりNPО法人の「ふれあいドリーム」は家事援助などで介護保険がカバーしないすき間も埋め、「給食の会」は手作りの弁当を独居老人らに届けている。
お年寄りや体の不自由な人らを支える活発な活動の多くは女性たちが担ってきたが、最近は退職した男性たちも積極的に支え手に加わり始めた。ただ、福祉団体の中心的なメンバーやスタッフ自体が高齢化するなど新たな課題も。記者は「住民に支えられ、広がってきた『福祉の輪』は今、曲がり角を迎えている」と指摘する。「団地の現実は、将来的には地域全体が直面する現実でもある。住民の活動がどう引き継がれていくかにも注目したい」と小野明男・報道部次長。三部を予定。報道部の渡辺渉、大槻和久記者が担当。(審査室)