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2008年 2月12日
リンゴも異変―環境問題探る
陸奥「環境 青森のいま」
元日スタートの第一部「現状」(六回)は地元高校の自然科学部がこの十年続けている、つがる市のニホンザリガニの調査で始まる。生息地が半減した。「水質の悪化か、温暖化の影響か。一度、水が枯れるとザリガニはそこでは再生できない」と生物教師は気をもむ。
世界遺産の白神山地では一万七千㌶に及ぶ天然のブナ林の紅葉が遅くなった。最近は十一月上旬まできれいな紅葉が続く。温暖化により今世紀中に生育区画が十分の一に減るという予測があり「訪れる観光客には喜んでもらったが」と森林関係者は苦笑する。
日本一の生産量を誇るリンゴも近年、果肉が熟しても表面の色付きが不十分な「果肉先行」が目立つ。つがる弘前農協のリンゴ課長は「真っ赤に色付くのを待つと、果肉が軟らかくなってしまう」と嘆く。
環境問題では、ごみ処分も頭が痛い。最終処分場が満杯に近付いたため、中泊町は「もったいない条例」を制定して町ぐるみでごみ減量に乗り出した。一方、二〇〇〇年に県内で先駆けて「ごみ十二分別収集」を始めた弘前市は、四月から「九分別」に変える。ごみは四年間で約一万㌧減った。しかし、レジ袋やパック類など「その他プラスチック」で集めるごみの再利用のコスト高に悩み、「燃やせるごみ」としてより効率化を図る。
「環境」を年間テーマに据え、支局を含めた若手六人の取材チームが青森・津軽を中心に問題点を探った。成田幸男報道部長は「取材して、環境問題の広がりや一人一人の気配りの大切さに気付いたことも多い」と言う。三月予定の第二部「取り組み」は具体的な備えや対策を取り上げ、その後の検証や提言につなげる。地域の将来を担う子供たちに環境の大切さを知ってもらおうと「子供たちを巻き込んだ企画も考えたい」とも。(審査室)